地元で輝いた修正力
ブルック・ロバーツ、PWBAオーランド・リージョナル制覇

フロリダで光った「地の利」――ブルック・ロバーツがPWBAリージョナル

米フロリダ州オーランドのBoardwalk Bowlで行われたProfessional Women’s Bowling Association(PWBA)オーランド・リージョナルで、地元フロリダ出身のブルック・ロバーツが頂点に立った。日曜日の競技で予選トップに立つと、そのままステップラダーを勝ち抜き、決勝戦でマランダ・パティソンを234-201で下して優勝。ロバーツにとって通算2つ目のPWBAリージョナルタイトルとなり、トップ賞金2,600ドルを手にした。

 

勝敗を分けたのは「微調整」と「レーン理解」

1)タイトルマッチ:小さなミスを「勝ち筋」に変えたロバーツ

決勝戦は序盤から波乱含みだった。パティソンが1フレーム目で5-7スプリットを残し、ロバーツも数フレーム後に2-8-10を残す。互いに完全な立ち上がりではなく、どちらが先に整えるかが鍵になる展開だ。

その勝負どころでロバーツは迷わなかった。中盤以降に投球の組み立てを修正し、終盤へ向けて4連続ストライク。試合の温度を一段上げ、相手に「追い上げにストライクが必須」という圧をかけた。点差以上に、主導権を握るタイミングが鮮やかだった。

 

2)パティソンを苦しめた「想定以上の曲がり」

一方のパティソンは、悪い投球が続いたわけではない。それでもレーンの反応が想定より強く出る場面があり、ペースメイクが難しい試合になった。5フレーム目には、オーバーフック気味に入って3-6-10のコンビネーションを残し、スペアでつなぐ。

しかし勝負の分岐点は8フレーム目だった。ダブルで流れを作りかけた直後、手離れは良く見えたボールが再び強く噛み、4-6-7スプリット。ここをカバーできず、追撃の芽がしぼむ。ロバーツの勝利を決定づけたのは、この一度の“読み違い”だった。

結果としてロバーツがトロフィーと2,600ドル、準優勝のパティソンが1,300ドルを獲得。内容は「崩れた方が負けた」のではなく、「崩れかけても立て直せた方が勝った」試合だったと言える。

 

3)地元センターの経験値:レーンの“クセ”を知っていた強み

ロバーツにとってBoardwalk Bowlは、初めて挑むセンターではない。高校時代から複数の大会で投げ込んだ経験があり、レーンの特徴を感覚的に把握していた。本人は「低い番台側では右レーンが曲がりやすく、別のエリアでは左レーンが曲がりやすい」と語り、左右差を前提にゲームを組み立てていたという。

象徴的なのが、2-8-10を残した後の対応だ。ロバーツは「少し柔らかく投げて、スムーズに進ませてから反応させる」方向へ切り替えた。大きなフォーム改造ではなく、球速や通し方といった“微調整”で反応を合わせるレーン理解があるからこそ修正が早い。そして修正が早いからこそ、ストライクが続く。

 

4)リージョナルの成功を、2026年ナショナルツアーへ

ロバーツは2025年にPWBAアルバニー・リージョナル優勝を経験し、ナショナルサーキットにも一部参戦していた。さらにRegional Showdownでは6位に入り、すでに結果の芽は出ている。今回の優勝で自信を上積みし、2026年はPWBAナショナルツアーにフル参戦する意向を明確にした。ツアー開幕は4月29日、イリノイ州ロックフォードで予定されている。

注目したいのは、その背景に「競技と生活の両立」がある点だ。ロバーツは獣医師補助(動物病院のテクニシャン)として1年以上勤務し、経済的な見通しを立てた上で本格参戦を決めた。「やりたい」だけではなく、「続けられる」形に整えてから挑む。これは多くの選手にとって現実的なロールモデルになる。

 

5)ステップラダーのドラマ:両手投げの挑戦と、終盤の連打

ステップラダーの道のりも、今大会を語るうえで外せない。最初の一戦は、モーガン・クレイマーとアリッサ・フェラーロ。フェラーロは2025年Regional Showdown準優勝の実力者。一方、クレイマーはステップラダーデビューながら、パワフルな両手投げ221-184と快勝し、存在感を示した(フェラーロは4位で700ドル)。

続く準決勝でクレイマーはパティソンと対戦。序盤は拮抗したが、パティソンが終盤に5連続ストライクをまとめ、257-201で決勝進出を決めた(クレイマーは3位で900ドル)。勢いの連打が、挑戦者を押し切った形だ。

 

6)Regional Showdown、そして次戦へ:熱量の高まり

ロバーツは12月に近隣のAirport Lanesで行われた大会でも、Regional Showdown出場をいち早く確定させたという。さらにShowdownの勝者には、2027年PWBAナショナルツアーのエントリーフィーがカバーされる特典もある(特定のダブルスイベントを除く)。これは単なる賞金以上に、「次の挑戦を継続できる仕組み」として価値が大きい。

PWBAリージョナルツアーの次戦は3月28日、ペンシルベニア州ベツレヘムで行われるEastern Pennsylvania Regional登録開始から3時間で完売したという事実は、リージョナルの人気と競技熱の高まりを端的に示している。

 

勝利が示したのは「強さ」だけでなく「積み重ね」だった

オーランドでのロバーツの勝利は、スコア以上に「整え方の上手さ」を印象づけた。序盤のオープンで試合が揺れても、レーンの特徴を踏まえて投球を微調整し、終盤に最大の伸びを作る。地元センターで培った経験が、判断の速さと再現性を支えた。

そしてこの優勝は、次の舞台への“通行証”でもある。リージョナルで結果を積み、生活の基盤も整え、いよいよナショナルツアーへ本格参戦。タイトルを獲るだけがゴールではなく、挑戦を続けられる形にしてから踏み出すロバーツの歩みは、競技者に現実的な希望を与える。2026年、全国を転戦する舞台で彼女がどこまで通用するのか。オーランドの一勝は、その期待を十分に膨らませる内容だった。