タケット首位通過:PBA Players Championship予選終了
勝負はデュアルパターンから
予選24ゲームを制したのはタケット。だが主役はまだ決まっていない
PBAのメジャー大会「2026 PBA Players Championship」は、テキサス州アーリントン近郊のBowlero Eulessで行われた予選(96名・24ゲーム)が終了し、上位32名が次ラウンドへ進んだ。リーダーボードの頂点に立ったのは、ツアー屈指の安定感と爆発力を併せ持つEJ・タケット。トータル5,545ピン(+745)、平均231.04という“数字の強さ”で、長丁場の入口を支配した。
ただし、この大会は予選順位がそのまま優勝へ直結しない。理由は明確で、ここから先は左右で別のオイルパターンという、適応力を極端に要求するフォーマットが待つからだ。しかもルーキー勢が好位置につけ、勢いと未知数が混ざり合う。予選は終わった。だが、勝負はむしろここから始まる。
タケットの完成度、ルーキーの伸びしろ、そして勝負を割るデュアルパターン
1)タケット首位の意味:24ゲームで崩れないことが最大の武器になる
タケットは予選最終盤、疲労を隠さず「疲れた」と語った。それでも「1位は欲しい位置」「まだゲームは多いが良いスタート」と言葉をつなげている。ここに今大会の本質がある。
24ゲームの予選は、単発のハイスコア自慢ではなく崩れない技術の証明だ。オイルが変わり、レーンが削れ、球質や立ち位置を変えても、スコアをまとめ続ける。平均231超で走り切った事実は、タケットが調整の精度をすでに高い水準で揃えていることを示す。
ただし、首位は安全圏ではない。先頭に立つほど、後続は「どのラインで、どのボールで打っているか」を観察し、対策を組み立ててくる。トップにいる者は、真似される側のストレスとも戦うことになる。
2)上位争いは僅差:トップ5に見える今後の展開図
予選上位は以下の通りだ。
1位:EJ・タケット 5,545(231.04)
2位:ショーン・マルドナード 5,479(228.29)
3位:アンドリュー・アンダーソン 5,441(226.71)
4位:CJ・ペトリン 5,405(225.21)
5位:ネイト・ガルシア 5,403(225.13)
2位マルドナードは火曜に首位だった選手で、状態の良さは継続中。3位アンダーソンも含め、上位は大崩れしないタイプが並ぶ。さらに4位にルーキーのペトリン、5位ガルシアが続き、上の“安定勢”と下の“新勢力”が、ほぼ同じレンジに収まったのが面白い。
ポイントは、トップ層が突出していないこと。予選24ゲームでこの差なら、ここからの数ゲームで順位が入れ替わる余地は十分にある。
3)カットラインの重み:32位で滑り込み、一切の余裕はない
上位32名が進出できるカットラインは、トム・ドハティが32位で滑り込んだ。トータル5,203、平均216.79。数字だけ見れば“高い”が、メジャーの上位戦では「216で足りない日」も普通に起きる。
カットの怖さは、ミスの価値が跳ね上がる点にある。スプリット1回、スペアミス1回が、そのまま“帰るか残るか”を決める。予選を通った選手にとっても、通れなかった選手にとっても、ボウリングが最も残酷に見える瞬間だ。
4)今大会の核心:Viper(37ft)とBadger(50ft)を左右同時に解く
予選はラウンドごとにパターンが切り替わった。第1・第3が37フィートのViper、第2・第4が50フィートのBadger。そして残りラウンドは、左レーンがBadger、右レーンがViperのデュアル運用になる。
ここで勝敗を分けるのは、単なる「曲げる/まっすぐ」ではない。左右で要求される失投許容度が変わるからだ。
Viper(37ft):短く摩擦に入りやすい。外を使うほど曲がりが早く出やすく、わずかな外ミスが薄くなる。逆に内へ入り過ぎると届かない。つまりブレイクポイント管理が命。
Badger(50ft):長く手前の動きが抑えられる。角度を作りづらく、奥での変化設計が鍵。スピードや回転のブレが弱い当たりに直結しやすい。
デュアルパターンは、左右で同じ感覚が使えない。右で成立した投げ方が左では通用しない。その逆もある。上位に残る選手ほど「右はこれ、左はこれ」と頭の中で別競技として再構築し、フレームごとに切り替える。ここに経験の差が出る一方で、固定観念の少ない若手が伸びる余地も生まれる。
5)ルーキーの存在感:ペトリンの言葉が示す勝つための現実的な作戦
今大会で最も物語性があるのが、4位につけた23歳のCJ・ペトリンだ。本人は「フルツアーシーズン初戦で緊張した」「テレビで見ていた選手たちと投げている」と語りつつ、立てた方針はシンプルだった。
焦らず待つ
スペアを外さない
スコアを見過ぎない
これは初心者の標語ではなく、メジャーを勝つ人間が最後に行き着く再現性の設計でもある。特にデュアルパターンのような難条件では、ストライク量産より崩れないフレームを積み上げる方が強い場面が多い。ペトリンが予選で上位にいるのは、派手さではなく、必要な要素を外していないからだ。
さらに、元ウィチタ州立大学のチームメイトであるスペンサー・ローバージ(10位)、ブランドン・ボンタ(22位)も進出。大学ボウリングで鍛えた情報共有や、パターンへのアプローチの引き出しが、メジャーの序盤から形になっている印象を受ける。
6)ここからの見どころ:短いラウンドが“これまで”を消し、“これから”を決める
大会は木曜夜(現地時間)に進出32名が6ゲームを投げ、上位16名が金曜のラウンドロビン・マッチプレーへ進む。最終的にトップ5がステップラダー決勝へ。日曜はCWで放送される。
日本時間(JST)に直すと、観戦のタイミングは把握しやすい。
進出32名・6ゲーム:2月20日(金)午前9時(ET 2月19日19時)
マッチプレー Round1:2月21日(土)午前2時(ET 2月20日12時)
マッチプレー Round2:2月21日(土)午前9時(ET 2月20日19時)
決勝(CW):2月23日(月)午前6時(ET 2月22日16時)
BowlTVで予選を含むラウンドが視聴できる点も含め、追いかける側にとっては木曜の6ゲームが最大の山場になる。予選で築いた貯金が、たった6ゲームで消える可能性があるからだ。
予選首位は通過点。勝つのは左右で別条件を平然と積み上げる選手
予選を終えた段階では、タケットが最も完成度の高いスタートを切った。だが、Players Championshipの勝者を決めるのは、順位表の上に載った実績だけではない。ここから始まるデュアルパターンの連続は、技術と判断、そして感情の制御まで含めて、選手の総合力をあぶり出す。
ベテラン勢は経験と引き出しで押し切れるか。マルドナード、アンダーソンは僅差をどう詰めるか。そしてペトリンを筆頭としたルーキー勢は、「待つ」「スペアを取る」という現実的な戦い方で、上位の常連を崩せるのか。
予選は強さの証明だった。これからは勝ち方の証明になる。タケットの首位が王道の優勝へ続くのか、それとも若い波が大会の物語を塗り替えるのか。木曜の6ゲームが、その分岐点になる。