開幕メジャーで勢力図は変わるか?
2026年PBAプレイヤーズ選手権の注目点総まとめ

開幕からいきなりメジャー 2026年PBAツアーはアーリントンで動き出す

2026年PBAツアーのスタートは、最初のタイトルイベントにして最初のメジャー「PBAプレイヤーズ選手権」。舞台はテキサス州アーリントン、決勝ラウンドはITRC(International Training and Research Center)で行われる。新シーズンは全員がポイント0、獲得賞金0、タイトル0。序盤の一勝が、年間の空気をそのまま決めてしまうことすらある。

しかも今大会は、短めの「Viper(37フィート)」と長めの「Badger(50フィート)」を使い分ける構成。単に調子が良いだけでは乗り切れない。レーンの変化を読み、ボールチェンジとライン取りを最適化し続ける“総合力”が、開幕週から容赦なく試される。ここを獲った選手は、2026年の主語になれる。

 

注目ストーリーを「勝てる理由」と「落とし穴」まで掘り下げる

1. 「開幕メジャー」の価値:序盤の一勝が“年間の空気”を作る

開幕直後は、まだ差が小さい。だからこそメジャーの結果は重い。優勝者は「今季の完成度」を示し、同時に追われる側になる。開幕メジャーは単なる一大会ではなく、年間レースの起点であり、勢力図を早期に固定し得るイベントだ。

 

2. レーン攻略の前提:Viper(37ft)Badger(50ft)という二面性

今大会のキーワードは二つのオイルパターンだ。短いViperは外の使い方やブレークポイントの作り方が勝負になりやすく、長いBadgerは中の厚みや回転・スピード管理がよりシビアになる。さらに途中からはデュアル(Viper+Badger)で進み、切り替えの速さが問われる。勝つのは、球の強さだけでなく、判断の速さと修正力を持つ選手だ。

 

3. EJ・タケット:世界最強が抱える「唯一の空白」=プレイヤーズ未制覇

今大会の中心は、やはりEJ・タケット3年連続PBA年間最優秀選手(Player of the Year)という実績が、近年の支配を裏づける。2026年は、史上誰も成し遂げていない「4年連続POTY」と「4年連続メジャー制覇」が視界に入るシーズンでもある。

だがタケットには“強すぎるがゆえの空白”がある。メジャー通算7勝、直近3シーズンで5つのメジャーを獲っているのに、PBAプレイヤーズ選手権だけは未制覇。2020年には1ピン差の準優勝という、あと一歩の記憶もある。

タケットの勝ち筋は、パターンが変わっても崩れない引き出しの多さミスの小ささ。さらに直前には、PBA USA vs. The World キャプテンズマッチでベルモンテを下して優勝しており、仕上がりは上々だ。落とし穴があるとすれば、未制覇への意識が判断を遅らせること。勝てば、年間レースは“タケット中心”で動き出す。

 

4. ジェイソン・ベルモンテ:GOATへの道は「16勝目」から現実になる

タケットの最大の対抗軸がジェイソン・ベルモンテだ。彼は現役で唯一のスーパースラム達成者であり、プレイヤーズ選手権は大会最多の3勝。メジャー通算は15勝に達している。

ベルモンテが掲げてきた目標は、「メジャー20勝」。この非現実的な数字に近づくには、一つひとつのメジャーを確実に積む必要がある。今週テキサスで16勝目を挙げられれば、2026年は“復讐心と野心”に満ちたキャンペーンになり得る。さらに2022年には、同大会の開幕戦優勝からPOTY獲得へつなげた実績もある。つまり彼は、開幕メジャーの勝ち方を知っている。

 

5. ライアン・バーンズ:2年目の真価は、「初優勝の壁」を越えられるか

昨季ルーキーで最も鮮烈だったのがライアン・バーンズ新人賞に加えて、新人の単年獲得賞金記録(113,502ドル)を樹立した。

そして彼にとって今大会は、段階がはっきりしている。2024年にアマチュアで3位、昨年は準優勝。つまり「この大会で勝つ準備」を整えてきた。残るのは優勝だけだ。加えて、テキサス州デントン出身のバーンズは、決勝会場のITRCでの練習量が多いとも言われる。決勝の独特な空気に対する“慣れ”は、終盤の一投に効く。

課題は、優勝が見えた瞬間に必要となる勝ち切る冷静さ。準優勝の経験は武器にもなるが、同時に“あと一歩”の重さも知っている。2年目で、バーンズが“有望株”から“勝者”へ変わるかが注目点だ。

 

6. イーサン・フィオーレ:20歳王者が挑む「防衛」と最年少記録更新

昨年の覇者はイーサン・フィオーレ。2025年のプレイヤーズ選手権を制し、PBAメジャー史上でも4番目の若さで優勝した。

今年はタイトル防衛に加え、最年少で複数メジャー制覇の記録更新にも挑める。既存記録として示されているのが、アンソニー・サイモンセン(2019年、22歳)。フィオーレにとって難しいのは、今年は“新星”ではなく研究される王者であることだ。守るのではなく、勝ち方を更新できるか。20歳で勝った選手が、21歳でさらに勝つのか。ここが最大の焦点になる。

 

7. アンソニー・サイモンセン:ホームカムバックで“無冠の2025”を塗り替える

アンソニー・サイモンセンは29歳。ダラス近郊メスキート出身で、今大会は地元回帰の色が濃い。本人もITRCのレーン経験が豊富だとされる。環境への適応が早い選手は、予選でスコアを積み上げるスピードが違う。

一方で、地元は諸刃の剣でもある。期待が大きいほど、平常心の維持は難しい。しかも彼はタイトルのない2025年を経て今季を迎える。反発心が良い形で噛み合えば、開幕から“熱”で押し切れる。サイモンセンが早々に結果を出せば、今季は混戦の色が強まる。

 

8. カイル・トゥループ:父の殿堂入りと重なる週末、最高の脚本を現実にできるか

カイル・トゥループは昨季、本人の基準からすれば苦しい時期があった。ただ、終盤のPBAプレーオフで存在感を示し、戻りつつある。

今週が特別なのは、父グッピー・トゥループPBA殿堂入り(2026年クラス唯一のメンバー)として、2月21日に顕彰されることだ。土曜に父を紹介し、日曜に自分がメジャーを獲る――これは“これ以上ない開幕”になり得る。物語が強すぎる週末は、逆に選手を押し上げることもある。トゥループがその瞬間を掴むかは、今大会の見どころの一つだ。

 

9. イェスパー・スベンソン:終盤型から「開幕型」へ変われるか

“アイスマン”ことイェスパー・スベンソンは、昨季後半にPBAトーナメント・オブ・チャンピオンズPBAプレーオフで優勝し、最高の形で締めた。終盤に強い選手が開幕から噛み合うと、年間レースは一気に壊れる。

彼の課題は、序盤の掴み。ViperとBadgerをまたぐ今大会は、変化対応が上手い選手が上がってきやすい。スベンソンが開幕から熱を出せれば、POTY争いは「二強」から「三つ巴」へ変わる可能性がある。

 

日程の要点と、視聴で押さえるべきポイント

大会はBowlTVで予選〜マッチプレーが進み、決勝は米国のThe CWで放送される。日本で追う場合、決勝の開始時刻に注意したい。東部時間2月22日(日)16:00は、日本時間(JST)では2月23日(月)6:00に相当する。

大会スケジュール(現地時間)

  • 2月17日(火):予選R1(Viper)/R2(Badger)

  • 2月18日(水):予選R3(Viper)/R4(Badger)

  • 2月19日(木):Advancers(Viper+Badger)

  • 2月20日(金):マッチプレー(Viper+Badger)

  • 2月21日(土)PBA殿堂入り・2025シーズン表彰

  • 2月22日(日)決勝(The CW)

開幕メジャーは、勝った瞬間に「今年の中心」が決まりやすい。タケットの未制覇克服か、ベルモンテの16勝目か、バーンズの初優勝か、フィオーレの防衛と最年少更新か、サイモンセンのホーム反発か、そしてトゥループが家族の週末を歴史に変えるのか。
2026年PBAツアーは、最初の一週間から、年間の名場面候補を出しにいっている。