スコアが崩れる原因は「手」じゃない
脚とタイミングで“リリース窓”を戻す現場回答11連発

記事に入る前に、音声による要点解説をお聞きいただくと、内容が一段と理解しやすくなります。

要点音声解説

本要点音声解説は、「The Clean Up Crew」掲載の動画内容を整理・補足して、NotebookLM を用いて生成したものです。

質問箱回が“練習の迷い”を消す理由

今回の動画は、ホストRichとコーチMark Bakerが視聴者コメントから質問を拾って答える「質問箱」形式の現場コーチング回だ。Markは約6週間〜2か月ぶりの出演で、出張レッスン先でも「新しい動画まだ?」と声をかけられるほど反響があると語る。だが、この回が注目される理由は“久々の登場”ではない。扱うテーマが、上達の核心である「スコアの再現性」に一直線でつながっているからだ。

フォーム修正の順番、タイミング、リリース、レーン移動、姿勢、膝、ドリフト。ボウリング動画の世界では、派手に見える「回転数」「パワー」「キレ」が先に語られがちだ。しかしMarkは、そこへ飛びつくほど遠回りになると断言する。彼が繰り返し示すのは、技術をバラバラに直すのではなく、ひとつの原理に束ね直す視点だ。言い換えるなら、今日の不調を“手のせい”にする前に、脚とタイミングで「現象が起きる条件」を揃えるという話である。

 

この回のニュース性は「手の話を、手だけで終わらせない」こと

1)「手をボールの内側に入れる」はツーハンドでも通用するのか

結論は明快で、通用する。しかもMarkは、ツーハンドのほうが「親指がない分やりやすい」とまで言う。ここだけ切り取ると「ツーハンドは内側に入りやすい」で終わってしまうが、この回の価値はその先にある。Markが強調する最大の注意点は、次の一言だ。

  • 「手だけで内側に入れようとすると失敗する」

核心:内側に入るのは「手の意識」ではなく「タイミング現象」

Markの見立てでは、内側に入る動きは“作る”ものではない。脚・タイミング・腕の連動が揃ったときに自然に起きる現象だ。

ポイントは、
スライド足プッシュオフ側の脚手(腕)が連動する瞬間。

このタイミングが合うと、

  • 膝が押し込み

  • その結果として、手が内側に「落ちる」ように入る

逆に、タイミングがズレたまま「内側に入れよう」とすると、起きるのは再現性の崩壊だ。

  • リリースが毎回変わる

  • 回転量がぶれる

  • ライン取りの判断ができなくなる(原因が分からないから)

“内側に入れる”は手先の技ではない。現象が起きる順番の問題だ、というのがこの回答の核心である。

YouTube学習の落とし穴:憧れのリリースを「前段階なしで」取りに行く

Markは“新しいボウラー”の典型として、こういう流れを挙げる。

  • 「リリース」「回転数」「パワー」だけを追う

  • その前に必要な「土台(脚・タイミング・下半身主導)」を飛ばす

EJ Tackettのようなヨーヨー系のリリースに憧れたとき、人は「手の形」「回し方」「指の抜け」を先に探しに行く。しかしMarkの立場は逆だ。憧れのリリースは“結果”であり、先に整えるべきは“条件”だという。

ツーハンドの具体:回すのは「遅く」、肩を使わない

この回が実用的なのは、抽象論で終わらない点だ。Markはツーハンドに対して「回すタイミング」を指示する。

  • 早く回す(回内・回外が早い)
    肩が巻き込みやすい
    → 肩が介入すると、「内側」「後ろ」が崩れる
    → 結果として、回転は増えても再現性が落ちる

  • 遅く回す(リリース窓の終盤
    肩が介入しにくい
    内側と後ろを保ったまま回転を付加できる
    → 回転が“増える”より先に、回転が“揃う”

ここで重要なのは、回転を増やすコツではなく、肩を消して窓の終盤で仕事をするという設計思想だ。

 

2)久しぶりに投げるとリリースが戻らないのはなぜか:答えはほぼ

ホストの「最近投げられず、リリースが壊れた感じがする」という悩みに対して、Markは原因を整理する。そして結論は容赦ない。

  • 原因は“手”ではなく、ほぼ“脚(下半身)”

この指摘が鋭いのは、“投げていない期間の影響”を構造として説明しているからだ。ボウリングは14〜16ポンドを片側で扱う競技で、投げない期間があると脚が怠ける。一方で腕は動くので、次のようなねじれが起きる。

  • 腕は動く

  • だからスイング速度だけ上がる

  • しかし脚が働かない

  • 結果、回転を加える場所がズレる

本人は「手がダメになった」と感じるが、実際に崩れているのは下半身主導の比率である。

70:30ルール:良い状態は「下半身:上半身=70/30」

Markは状態を比率で表現する。

  • 良い状態:70/30(脚主導)

  • 投げない期間後:50/50(腕の比率が増える)

そして50/50は、感覚的な違いではなく、結果に直結する。

  • 不安定

  • 狙えない

  • 再現できない

ここでさらに厄介なのが、“頑張るほど悪化する”という逆説だ。

  • 悪い

  • もっと力む(manhandle)

  • 肩が落ちる

  • 親指が上から被る

  • ミスが連鎖する

Markが「ボウリングは筋力競技ではなくフィネス」と強調する理由がここにある。

復調の地図は「リリース窓」:回す場所がズレるとすべてが崩れる

Markの回答を“行動に落とす”鍵が、リリース窓という概念だ。

  • ワンハンド:足の甲のノブ〜つま先より前2〜3インチが窓

  • ツーハンド:前傾が強い分、窓がさらに前(つま先の先6インチくらい

そして、窓を外すと何が起きるかが具体的だ。

  • ヒール付近で回す
    → 精度が落ちる
    → 回転量が毎回変わる
    → “いい球”の定義が揺れる(判断ができない)

  • 窓(つま先より前)で回す
    → 過回転しにくい
    → 方向性が揃う
    → ミスが“同じ形”になり、修正できる

不調時に必要なのは「回転を増やす努力」ではない。回転を入れる場所を戻す努力である。

EJ Tackettが「パワーがあるのに正確」な理由:窓の“最後”で仕事をする

MarkはEJ Tackettを例に、こう整理する。

  • EJはリリース窓の最後で回転を加えるのが極端に上手い

  • だからパワーがあるのに正確

  • 結果としてブレイクポイント(Baker box)を支配できる

ここは上級者ほど刺さる。球威や回転数ではなく、窓の管理が精度を決めるという思想が、すべての回答の背骨になっているからだ。

 

3)フルローラーへのアドバイス:変えるより先に「人生設計」を見る

フルローラーについて、Markは潔くこう言う。

  • 専門外

  • 70〜80年代以降、ほとんど見ない

  • “典型的フルローラー”は希少

  • 筋肉記憶が強すぎるため、安易に矯正したくない

ここで価値があるのは、「直せます」と言わないことだ。もし長年フルローラーなら、Markはこういう選択肢も肯定する。

  • 「無理に変えず、その型で極める」

フォーム変更は技術だけでなく、身体、時間、メンタル、競技人生全体にコストがかかる。だからこそ、軽々しく矯正を勧めない。これもまた“現場コーチング回”としての信頼を生む部分だ。

 

4)タイミングの直し方:測るのは一箇所、だから迷わない

タイミングが遅れているとき、「足を速く?」「プッシュアウェイを遅く?」「バックスイングを小さく?」と、人は調整の選択肢に溺れる。Markはこの迷いを、基準の一本化で断ち切る。

  • Markのタイミング定義(測定ポイントは一つ)
    「スライド足が頭の前でフラットになった瞬間、スイングが床と平行(parallel)」

ここが合っていると、

  • 下半身とスイングが同期する

  • 体幹(コア)が静かになる

  • 毎回同じリリース点が出る

  • 結果として精度が出る

なぜ「序盤」で測らないのか:開始は人によって違うから

Markが賢いのは、型を一律に押し付けないことだ。たとえば、

  • Tommy Jonesは早めに動かす

  • Chris Barnesは2歩目の終盤まで動かさない

開始の形で良し悪しを決めるのは危険。しかし、スライド足フラット時の位置関係は多くのトップ選手で一致する。だからそこを基準にする。つまり、

  • 人によって違うところは許容し

  • 共通して揃う一点だけを見る

という、コーチングとして強い設計になっている。

 

5)トーナメント前日のルーティン:本番の負荷を「前倒し」しておく

Markの準備法は、試合の“流れ”を先に体へ入れることだ。

  • 「実戦を想定して、先に大会1週間分を体に入れる」

例として、ホームセンターで同等の負荷を再現する。

  • 火:1.5時間

  • 水:6G+6G

  • 木:6G+8G

  • 金:8G+8G

ここでのポイントは、調子を上げることより、大会特有の疲労と集中の配分を先に経験しておくことにある。

公式プラクティスへの姿勢:練習は技術戦だけでなく情報戦

Markは“勝つ練習”を辛口に切る。

  • レーンマンが観察している

  • 最高のラインを見せるのは不利になり得る

  • 冗談交じりに「2810をわざと作る」という発想も出る

ツアーを戦うということは、投球だけでなく、情報の出し入れを含む。ここが、一般のリーグボウラーには新鮮な視点になる。

 

6)「転がしてフックさせる」とは何か:45フィート以降の前進回転が勝負

この質問への回答は、原理と結果が一直線で分かりやすい。

  • 「45フィート以降で前進回転(forward roll)になっているほど、奥で曲がってポケットに入る」

回転は必要だが、終盤で前に転がることが重要。これができる選手は、

  • アウトオブバウンズ(戻らない外)が少ない

  • 他人より右にもう1〜2枚の“ボーダー”を持てる

ように見えるという。

EJ Tackettの強さの見え方:最後15フィートが“いつも同じ”

EJは、ボールやラインが変わっても最後15フィートの見え方が似ている。つまり、奥での転がり方が安定している。これが、ストライクの量産ではなく、ミスの小ささに直結する。

どこを見るか:Baker boxで45〜48フィート、6〜8板付近

Markは調整の目安として、

  • 45〜48フィート

  • 6〜8板付近

など“奥での挙動”を見て揃えるイメージを語る。結局、重要なのは「早く曲がる/遅く曲がる」ではなく、奥に入ったときの状態が揃っているかだ。

ツーハンドの落とし穴:回転が多いほど前進回転が遅れやすい

ツーハンドは回転数が高い分、前進回転への移行が遅れると、

  • ポケットで押し切れず

  • 不安定になりやすい

ここでのテーマは、回転を増やすことではない。“ポケットを通過するボール”にするために、奥で前進回転へ移行させることだ。

 

7)レーンが荒れてきたときのムーブ:答えは「結果がないと出せない」

「右利きで左足10・右足8が好き」という情報だけでは、Markは動きを決めない。必要なのは、

  • ターゲット

  • 結果(どう当たって、どこに抜けたか)

4ピンなのか、3-6-10なのか、ブルックリンなのかで、ムーブはまるで違う。同じ6-10でも、

  • 良い球のはずが中が急に変化して10ピン残り

  • 最初から鼻先行って6-10

では、動かす方向が真逆になり得る。つまりムーブは“立ち位置の話”ではなく、現象の診断の話である。

「小さく動く」は、戻せる余地を残すための戦略

ホストの「最初は小さいムーブで状況把握し、戻す余地を残す」は肯定される。現代のボールはトランジションが速く、

  • フロントが早く枯れる

  • バックエンドが締まる(carrydown等)

変化は流動的で、フレーム内で変わることもある。だからこそ、いきなり大移動ではなく、観察→判断が勝つ。

 

8)足と目は同時に動かすべきか:原則同時、ただし比率で微調整する

結論は、

  • 基本は同時

  • 足だけ動かすのは特殊条件

足を動かしたら目標(フロントターゲット)も動かす。例外は、

  • ホールドが強く外しようがない時

  • 短いスポーツパターンで角度だけ変えたい時

など限定的。

そしてここで実戦的なのが、比率の話だ。内側へ行くほど単純な平行移動だと、ダウンレーンで右に出す余白が消える。そこで、

  • 2:1、3:2、4:2(足を多め、目を少なめ)

という感覚で調整する。これは“何枚動くか”ではなく、角度を維持しながら動くための思考法である。

 

9)姿勢の悩み:「高く保つ」より、落とすのは一回だけ

「頭を上げて高く保て」と言われるが、後半で低くなる連動が難しい。Markの答えは、姿勢を上下させ続けないことだ。

  • 最初の2歩は低くならない(膝を曲げすぎない)

  • ボールがトップに行く頃に、股関節(ヒップ)を一度だけ落とす

  • そこからスライドはレベルに保つ

狙いは、肩を安定させてフラットスポット(安定した解放域)を作ること。ヒップが上下し続けると肩が揺れて、スイングが“振り子”にならない。

深いニー・ベンドが逆効果になりやすい理由:ボウラーの仕事は「管理」

Markの主張は強い。

  • 深いニー・ベンドは球速低下

  • 早いロールを招きやすい

  • 現代のボールは曲がる力が強い(曲がりはボールが持っている)

  • ボウラーの仕事は「いつ・どこで曲げるかを管理する」

だから、膝を深くして早く転がすと、2ゲーム目以降に

  • 足元で曲がる

  • つま先で曲がる

という最悪の悩みに直結する。ここも“手の修正”ではなく、条件(姿勢と肩の安定)の話に戻っていく。

 

10)ドリフト(滑り込み)対策:歩行軌道と「頭と膝の関係」を整える

Mark自身は右へドリフトしないタイプだが、現場での対処法はある。多くは、

  • ピボットステップで右に入り

  • スライドがターゲットに食い込む

レッスンでは肩に手を添えて歩行軌道を確認し、ピボットで軽く戻す補助をする。

右ドリフトが危険なのは、そこから悪い連鎖が始まるからだ。

  • 足首に当たる(痛い)

  • 手が上から被りやすい

  • さらにリリースが不安定になる

目安としてMarkが挙げるのが、フィニッシュの位置関係だ。

  • フィニッシュで顎(頭)がスライド膝の真上に来すぎると右に入りやすい

  • 理想は頭はやや右、スライドは頭の左側

  • そうするとボールを頭の下に通せる

ここまで来ても結論は同じで、狙って直すのは“結果”ではなく、起点(歩行軌道)である。

 

11)締めの告知が示すもの:2026年はコンテンツ増の可能性

エンディングでは、今後のコンテンツ告知とスポンサー募集が語られる。Markは「2026年はもう少しコンテンツ増えるかも」と示唆し、質問継続を呼びかけつつ、レッスンサイト案内、スポンサー枠募集(メール)で締める。質問箱回という形式自体が、視聴者の悩みを吸い上げて次の回へつなぐ装置になっているのが分かる。

 

近道は「手を直す」ではなく、脚とタイミングで窓を揃える

この回の結論は、派手さではなく確実さにある。

  • リリースを直す近道は、手の形を追うことではない。

  • 脚とタイミングで“回転を入れる場所(リリース窓)”を揃えると、精度と再現性が戻る。

もし次の練習で一つだけ持ち帰るなら、技のチェックリストではなく、基準の一点化が効く。
「スライド足が頭の前でフラットになった瞬間、スイングが床と平行か」
そして、回転が「リリース窓」で入っているか。

手は直そうとするほど暴れやすい。だからこそ、手を叱る前に、脚とタイミングを整える。今回の動画は、その当たり前を“実戦の言葉”で思い出させる回だった。