【大会で暴れる“キレ”に終止符】
Storm 新作4球=Tournament Collectionが「バッグ再編」を迫る理由
Storm 新作ボール4種を発表
「Tournament Collection」が示す“大会仕様”への明確な転換
今回の発表は「新作が出た」以上の意味を持つ
Stormが新作ボール4種類を発表した。だが今回のニュースは、単にラインナップが増えたという話では終わらない。ポイントは、Stormが直近の6モデルをまとめてTournament Collection(トーナメント・コレクション)と呼び、難しめの大会コンディションに向けた設計思想を、これまで以上に分かりやすく前面に出してきた点にある。
リーグ(ハウスショット)で映えやすい“スキッド・スナップ”系は、ストライクが出れば気持ちいい一方、外せない大会パターンでは「反応が鋭すぎて外ミスが止まらない」「曲がり幅が増えて読めない」といったリスクにも直結する。そこに対し今回の4モデルは、総じて急激なキレより“コントロール”、そしてバッグ内で役割が被らないように設計された“補強パーツ”として提示されている。
この記事では、Tournament Collectionの狙いと、4つの新作がどのような位置づけで噛み合うのかを、要点から整理していく。
Tournament Collectionの狙いと、新作4モデルの役割
1. 「Tournament Collection」とは何か──Stormが欲しいのは“大会で使える並び”
Stormは直近の6球をTournament Collectionとしてまとめ、タフな大会パターンでの汎用性・対応力を意識したラインとして打ち出した。ここが今回の発表の核だ。
昨年同時期のリリースは、必ずしも「大会特化」の補強需要に一直線という印象ではなかったのに対し、今年は明確に「トーナメントを意識した入れ替え・補強」に寄せている。狙っている読者(ユーザー)もはっきりしていて、州大会(state)、ナショナルズ、USBC系大会、あるいはそれに準ずる競技会が視野に入っている人に「今が見直しどきだ」と背中を押す設計になっている。
さらにStorm公式には比較ページが用意され、ボール同士の関係性を理解しやすい導線があるという。単発の“新作紹介”ではなく、コレクションとしての一貫性で選ばせにきた、というわけだ。
2. 新作4モデル一覧と発売日──“スプリットリリース”が意味すること
今回発表されたのは次の4球。
Storm Concept(ストーム・コンセプト)
ION Max Pearl(アイオン・マックス・パール)
Storm Bionic(ストーム・バイオニック)
Roto Grip Gremlin Tour X(ロトグリップ・グレムリン・ツアーX)
発売日は2回に分割されている。
2月27日:Concept/Bionic
3月13日:ION Max Pearl/Gremlin Tour X
この“スプリットリリース”は地味に重要だ。大会前に投球感を固めたい人にとって、発売・入手・慣らしのタイミングは現実問題として大きい。前半で「基準球やコントロール枠」を導入し、後半で「強い非対称の別バリエーション」や「ツアー系低フレア枠」を追加する。そう考えると、バッグを段階的に整える導線として合理的に見えてくる。
3. Storm Concept:今回の主役。“ウレタン的”を狙う新機軸
3-1. 位置づけは「ウレタンっぽい動き(urethane-style motion)」
動画内で最も注目度が高いのがConceptだ。見た目はオールドスクール寄りだが、反応評価がかなり良いという噂が先行している。プロ/アマ問わず「印象が良い」「反応が良い」と複数の筋から聞こえている、という語り口からも、期待値が高いことが伝わる。
3-2. “ウレタンっぽさ”の核は「強いカバー+弱いコア」
ウレタンボールの代表例(Purple Hammer、Pitch Blackなど)を語るとき、しばしば挙げられる典型がある。
カバーは強い
コアは極端に弱い(小さい/フレアが少ない)
この構造が、過度に鋭角な反応を抑え、ライン取りを安定させる。Conceptはまさにこの方向性に寄せた設計で、短いパターンやフラットで難しいコンディション、そして「キレ」より「抑えたコントロール」が要る場面で生きる、とまとめられている。
3-3. 数値・仕様が示すキャラクター
Conceptは数値でも“ウレタンライク”を裏付けている。
フィニッシュ:1000 grit(低番手で噛ませる方向)
RG:2.61(かなり高RG)
ディファレンシャル:0.020(超低フレア)
構造:2ピース
香り:Blueberry Fritter
高RG×超低Diffは、回転の立ち上がりやフレア量を抑えやすく、暴れにくい方向へ寄る。言い換えると、曲げ幅で勝負するというより、“曲げない強さ”で展開を作るための設計だ。
硬度については、いわゆる78硬度ではなく73〜75で高吸油寄りという話がある。ここは今後の実戦投入で評価が定まっていくだろう。
3-4. ルール適合の文脈──“ウレタン規制”を意識した一手
Conceptがここまで注目される背景には、ウレタン規制が進む流れがある。少なくとも現時点の前提として、ナショナルズ、Junior Gold、PBAツアー、US Open、USBC Mastersなどで合法という理解で話が進む。ただし、将来のリスト化などが絶対に起きないとは言い切れず、「様子見」のニュアンスも残している。
重要なのは、ウレタンが禁止/制限された世界線で、IQ78やPitch系、Black Hammer、Shadow Tank等の代替候補になり得るという示唆だ。競技者の視点では、ここがConcept最大の“ニュース性”かもしれない。
3-5. 価格は$190──高いが、刺さる人には高くない
価格は$190。ウレタン的なボールとしては高価という指摘があり、ここが唯一わかりやすいネガ要素になっている。ただし大会での1ゲーム、1フレームの価値を知っている人ほど、「買う理由」を見つけやすいタイプの価格でもある。
4. ION Max Pearl:情報が少ないのに空気が熱い、“ION Maxのパール版”
ION Max SolidがNRG Solidであることを踏まえ、ION Max PearlはION Maxのパール版という整理になる。つまり骨格は同系統で、カバーがNRG Pearlに変わった形だ。
現時点では反応動画・詳細がまだ少なく、「今言えるのはそれくらい」と早めに切り上げられているのが逆にリアルだ。にもかかわらず、カラー(ライトブルー)の評判が非常に良く、短尺投稿でも反響が大きいという。スペックで語られ始める前に人気が走り出すタイプの新作で、発売の3月13日以降、情報が揃った段階で一気に評価が固まりそうだ。
5. Storm Bionic:IONシリーズの“真ん中”を埋める、対称ベンチマーク枠
5-1. IONシリーズ内での役割が明快
BionicはIONシリーズにおける「3つ目の新コア」として紹介される。
ION Pro/ION Pro Solid:マイルドな非対称
ION Max:超強い非対称
Bionic:中庸の“対称コア”【穴を埋める】
極端な強さではなく、シリーズ全体の並びを成立させる“要のピース”という立ち位置が、最初からはっきりしている。
5-2. 反応は「スムーズで予測しやすい」。大会で効く設計
カバー:NRG Hybrid(強め、噛む系)
数値:RG 2.47/Diff 0.050(ベンチマーク帯)
仕上げ:4000 grit(ノンポリッシュ)
価格:$175
香り:Cherry Cobbler
Phase IIのような同カテゴリの定番を引き合いに、「中盤を支える基準球」になり得ると語られている。大会ではスキッドスナップが“邪魔”になる場面が少なくない。だからこそ、スムーズで調整しやすい方向性は合理的だ。
バッグ内の並びとしても分かりやすい。強いソリッドの後、パール系へ行く前の“つなぎ”として置ける可能性がある。派手さよりも「困ったときの戻り先」が欲しい人にとって、Bionicは相当現実的な選択肢になる。
6. Gremlin Tour X:ツアー系好きに刺さる、低Diff非対称の“勝負球候補”
6-1. 新コア+VR1 Hybridで「Gremlinの別解」を作った
Rotogripの新作がGremlin Tour X。Gremlinの流れを踏みつつ、新コア(Rondure Tour X Core)を搭載し、カバーはVR1 Hybrid。
Gremlin:VR Pearl
Transformer:VR1 Solid
Tour X:VR1 Hybrid(=シリーズに“ハイブリッド枠”を追加)
シリーズの穴を埋める設計であり、しかも「ツアー系の低フレア非対称」という、使い手を選ぶが刺さると強い枠に投げ込んできたのが面白い。
6-2. 数値が語る“扱いやすい非対称”
RG:2.48
Diff:0.034
Intermediate Diff:0.011
仕上げ:4000 grit(ノンポリッシュ)
価格:$165(元のGremlinと同価格)
低Diffゆえに過度に鋭角になりにくく、スムーズ寄りで調整性の高い球質になりそう、という推測が立つ。既存Gremlinが「速い/キレすぎる」時に、Tour Xをより早く・より丸い選択肢として組み合わせられる、という見立ても分かりやすい。
6-3. どの大会で光るか──“州大会で金になる”という評価
話者の温度感が高いのはここだ。州大会やローカル大会で“金になる(money)”可能性が高いと評価し、ナショナルズ級だとやや弱い/やや速いかもしれない、と慎重に線引きしている。さらに「4つから1個だけ選ぶなら、MinnesotaやIowaの州大会想定ではGremlin Tour X」という結論まで出している。用途の見立てが具体的で、競技者の想像が一気に進む。
7. 4球に共通するメッセージ:スキッドスナップより“コントロール”
今回の4球は、少なくとも3球が4000 grit(ノンポリッシュ)。そしてConceptは1000 gritで、方向性としてはより“噛ませて抑える”側にいる。
つまり「角度で倒す」より「読みで勝つ」。これがTournament Collectionとしてまとめた意図と噛み合っている。大会では“キレすぎ”が最大の事故要因になりやすい。鋭角な反応は武器である一方、展開が読めないと失点も早い。Stormはそこを踏まえ、コントロール軸の選択肢を厚くした──この理解がいちばん腑に落ちる。
8. もう一つのニュース:Stormとの協業示唆
発表の最後に、チャンネルがStormと組んで今後、
内部情報の提供
ライブ配信でのゲスト
ギブアウェイ(抽選プレゼント)
などの企画が動く可能性を告知している。もっとも「契約で縛られているわけではなく、他ブランドも公平に扱う」という“アンバイアス”姿勢も強調されている。Tournament Collection(合計6球)について今後さらに深掘りが出る、という予告は、情報待ちの競技者にとって素直に価値がある。
このリリースは「バッグを大会仕様に組み直せ」という合図
Stormの新作4球は、役割が被らないように配置された“大会向けの補強パーツ”であり、Tournament Collectionという枠組みでその意図を明確にした発表だった。
Storm Concept:高RG・低Diff+1000 gritで、ウレタン的な抑えたコントロールを狙う最注目モデル。価格は$190と高いが、規制文脈も含めて代替候補になり得る。
ION Max Pearl:ION Maxのパール版(NRG Pearl)。情報は少ないが反響が大きく、3月13日以降に評価が一気に固まりそう。
Bionic:IONシリーズの“真ん中”を埋める対称ベンチマーク寄り。NRG Hybrid、4000 gritで大会向きの読みやすさ。2月27日発売、価格は$175。
Gremlin Tour X:低Diff非対称のツアー系。州大会・ローカル大会の主戦力候補として推され、既存Gremlinとの組み合わせも明快。3月13日発売、$165。
もしあなたが大会を見据えているなら、今回のニュースは「新作チェック」ではなく、自分のバッグの“抜けている役割”を見つける作業として読むべきだ。キレが出る球はすでに持っている。でも、難しいパターンでスコアを守る球が足りない。そんな人ほど、Tournament Collectionは“買い足し”ではなく“戦力の再編成”として効いてくるはずだ。