2025年「Strong & Sharp」Top5発表
別格2強と“扱いやすい鋭さ”の正体

2025年「Strong & Sharp」ランキングが映した“強さの価値観”の変化

2025年のボウリングボール界隈で、最も語りやすく、同時に最も誤解されやすいカテゴリが「Strong & Sharp(強めでキレる)」だろう。言葉だけ聞くと「とにかく走って奥で鋭角に向く球」を連想しがちだが、今回のランキング動画が定義したのは、もう少し精密なニュアンスだった。

中心に置かれるのは、非対称コア×シャイニー(パール/ポリッシュ系)。ただし例外としてシンメトリックやハイブリッドも混ざりうる。そのうえで狙う挙動は、「オイルの中で早めに立ち上がりつつ、奥で角度も出る」。ここが重要だ。手前を抜けてから急に曲がるだけでは足りない。オイルの中で“拾い”を作り、なおかつ奥で“角度”を作る。だからこそ、ハウスショットの立ち上がりに刺さりやすい一方で、ちょっとした設計差が成績に直結する。

2025年、このカテゴリに該当したボールは23個。配信者の総評は意外と辛口で、「アシンメトリックは豊作だったが、シャイニーよりスムーズ寄りが多く、大当たりは少数」。つまり、良いボールは多い。しかし“突き抜けて凄い”は限られた。結果、ランキングは上位2つが別格で、残りは『良い〜とても良い』の層が団子という構図になる。

この記事では、その動画内容をニュースブログとして読みやすく再構成し、Top5の意図と評価軸を「なぜその順位なのか」が伝わる形でまとめる。

 

2025年Top5が示した「キレ」より「制御」というトレンド

まず押さえる前提:「アシン×シャイニー」はハウスのスタートで強い

配信者が繰り返し強調したのは、「アシンのシャイニーはハウスショットのスタートに最適になりやすい」という経験則だ。理由は、ミスに対する挙動が“両側で破綻しにくい”点にある。

  • 内ミス(少し中に外す)オイルの中で拾ってポケットまでエネルギーを残しやすい

  • 外ミス(外目)シンメトリックパールほど急激に跳ねず暴発しにくい

この「拾い」×「走り」×「角度」を、どれだけ安全に同居させられるか。2025年のStrong & Sharpは、このバランス競争だった。そして上位に行くほど、“角度の大きさ”ではなく“角度の出方の品の良さ”が評価されているのが見えてくる。

 

第5位:Storm EquinoX(ストーム エクイノックス)

宣伝倒れでは終わらない、「弱カバー×強コア」の成功例

EquinoXは発売前から「Storm史上最高のハウスショットボール」と大きく打ち出され、結果としてマーケティングも製品も成功した——という評価で語られた。注目点は設計の組み合わせにある。

  • カバー:A1S Pearl(Stormの中では中庸寄りだが、ここでは“弱め”として扱われる)

  • コア:かなり強い低RG+中〜高ディファレンシャル+中〜高中間差

この「弱カバー×強コア」が、ハウスショットでの使いやすさにつながった。カバーが噛みすぎないから前に進みやすい。しかしコアが強いので、オイルの中で拾う力を失いにくい。結果として、ポケットまでエネルギーを温存しやすく、立ち上がりの信頼感が出る。

一方で、注意点も明確だ。配信者自身の環境は摩擦が強いレーンで、そこでは「強さ」を感じたという。さらに、回転優勢(レブドミナント)だとコアが強すぎる局面があるとも述べる。つまり万能ではない。

それでもDMでは「過去最高クラス」と絶賛が多く、Top5入りに納得という結論に落ち着く。EquinoXは、強いカテゴリの中で“使いやすさ”を取り切った、2025年らしい一球だった。

 

第4位:Brunswick Combat(ブランズウィック コンバット)

「今めちゃくちゃ埋もれている」けれど、競技志向には刺さる一貫性

第4位は、配信者があえて「賛否が出る」、「slept on(埋もれている)」枠として扱ったCombat。スペック感は以下の通りだ。

  • 非対称パール

  • RG約2.502、ΔRG約0.051、中間差は中程度

  • HK22C採用で、全体として反応が速め(クイック)になりやすい

配信者はこれを「Brunswick版のMotiv Evoke Hysteria的な系統」と捉える。ただし、Brunswickは年間リリース数が多く、当時の新製品ラッシュに埋もれた。ハイプサイクルの外側に落ちた結果、“良いのに話題にならない”ポジションに置かれたという見立てだ。

興味深いのは、実投ユーザー・スタッフの声として紹介されたエピソードである。「ハウスでは良い。しかし大会でオイルにカバーを“溢れさせたくない”から温存している」。派手な爆発力ではなく、試合で怖くない挙動が評価されている。

形としては、やや長く、奥の反応が少し速い。ただし武器は“跳ね”ではなく、「読みやすくて暴れない一貫性」跳ねすぎない、ダラすぎない、予想外が少ない。競技で欲しいのは、こういう「計算が立つ強さ」だ。

そして購買目線の一言も入る。「値下げが入ってディスコン前になったら狙い目」。話題性より実用性。Combatの順位には、その価値観がはっきり表れている。

 

第3位:Brunswick Energize(ブランズウィック エナジャイズ)

「今年ベストのハウスショット」を名乗れる、理想のアシンハイブリッド

EnergizeはBrunswickの中でも評価が強い。立ち位置は「Vaporizeのハイブリッド版」。ただし既に別のハイブリッドが存在していたため、当初は“近すぎ問題”が懸念された。比較対象として注目されたのはHypnotize。しかし結論は明快だった。

「かなり違う。しかも良い方向に」

コアの基盤であるVaporizeコアは、低RG+中程度のΔRG(アシンとしては控えめ)+中間差も控えめ。だからコア挙動は“アシンなのにシンメに近い素直さ”がある。元のVaporizeはStrong & Sharpの中では長め寄りだった。そこへハイブリッドカバーを合わせて立ち上がりを早めスムーズさを足した結果、ハウスショット適性が大きく上がったという筋書きになる。

配信者はここで踏み込んで言い切る。
「今年ベストのハウスショットを1個選ぶならEnergize」

特に「センターにオイルが多く外が薄い」という典型的環境で強いという。さらにBrunswickの同系統アシンシャイニーは「奥が速すぎて角度が出すぎる」ものが多く、そういう球はビッグ4系の大きなスプリットを誘発しやすい。Energizeはそこを抑え、「角度は出るが過激にならない」。この一貫性が第3位の決め手になった。

 

第2位:Hammer Black Widow Mania(ハンマー ブラックウィドー マニア)

期待通り、期待以上。「幅の広さ」で勝つ王道ボール

上位2つは配信者いわく「驚きなし」の定番枠。そのうち第2位がBlack Widow Maniaだ。構成は説明不要の強さを持つ。

  • Black Widowコア(人気・知名度ともにトップ級)

  • そこにHK22Cを組み合わせた“そりゃ強い”設計

HK22/HK22Cはここ10年級で最も支持されるカバー系統の一つで、メーカー側も人気を理解して多用している——という背景説明も添えられた。WidowコアにHK22C、期待通り、むしろ想像以上にヒットしたという評価は、まさに“定番の勝ち方”である。

性能面で語られたのは、最大フックではなく、バランスの良さだ。拾い・走り・角度・暴発しにくさが高水準でまとまり、「深いライン(25枚目付近)でも成立」し、「10枚目付近をまっすぐでも成立」しやすい。つまりレーンの使える幅が広い

そして重要なのは、回転が多い人にとっての扱いやすさだ。“超回転型だと扱えないアシンが多い問題”を、Widowシリーズは比較的クリアしやすい。さらに価格面も触れられ、相場200ドル帯になりがちなカテゴリで約170ドルは魅力的。性能とコスパで第2位に落ち着いた。

 

第1位:Motiv Evoke Hysteria(モーティブ イヴォーク ヒステリア)

「奥が速すぎない」ことが最強になる。理想のブレンドで頂点へ

2025年Strong & Sharpの頂点はEvoke Hysteria。配信者は「誰も驚かない」と言い切り、PBAシーンでも評価が高く、特にWSOB以降で目立つ活躍をしたと語る。だが、Hysteriaの面白さは、単なる“強さの最大値”ではない。

MotivはStormやBrunswickほど鋭角な球を多く作るメーカーではないと整理される(角度系としてNebulaに言及しつつも、他社ほどではない)。そのMotivらしさ——つまり「角度を出しすぎない」特性が、このカテゴリにおいては理想形になった。ここが核心だ。

Evokeコア自体はRG 2.48、ΔRG 0.050で極端ではない中庸設計。だからこそ、Hysteriaはカバーの完成度が際立つ。最大の価値は、「非対称パールで、奥が速すぎない理想のブレンド」。奥で急激に切れすぎる球を嫌う人にとって、まさに欲しい挙動だという。

そして決定的なのが“評判の圧倒的一致”。発売から約9か月の間、DMやコメントが大量に来る中で、「買って後悔した/嫌い」という声が一度もないと強調される。これは異例で、今年そのレベルの満場一致は2個しかない——その2つがManiaとHysteriaだ。

両者は、「角度が出るが出すぎない」「スムーズだが鈍すぎない」という“幸せな中間”が非常に近い。そのため、強いボールが噛みすぎ始めたタイミングでHysteriaへ繋ぐと、少し深く動いて再び安定する、という実戦的な使い方が推奨される。結果として、Hysteriaは「ボール・オブ・ザ・イヤー候補」として締めくくられ、今後の別ランキングでも上位常連になるだろうという期待が添えられた。

 

2025年は「2強」と「良作の厚み」の年。勝ち筋は“鋭さ”ではなく“扱いやすい鋭さ”

2025年のStrong & Sharpは、数の上では豊作(23個)だった。しかしランキングが示したのは、「良いボールが多い年」と「別格が生まれる年」は同義ではないという現実だ。上位2つが抜け、残りは良作が団子。評価の重心は、最大フックや最大角度ではなく、奥の速さを制御し、暴発を抑え、ミスを吸収する“使える強さ”へ移っている。

最終Top5は次の通り。

  • #5 Storm Equinox

  • #4 Brunswick Combat

  • #3 Brunswick Energize

  • #2 Hammer Black Widow Mania

  • #1 Motiv Evoke Hysteria

そしてこのランキング回は、単なる順位発表ではなく、ハウスショット目線で「最初に投げるアシンシャイニーの強さ」を再確認する内容でもあった。