2025年「Weak & Sharp(弱めでキレる)」ボール最前線
少数精鋭7作から選ぶTop4
2025年は“少ないからこそ語る価値がある”Weak & Sharpの年
2025年に発売されたボウリングボールのうち、いわゆる「Weak & Sharp(弱めでキレる)」に該当する公開リリースは合計7個。この数字は、近年の感覚からすると明確に少数だ。ランキングを作る側としては本音を言えばもっと長く語りたい。しかし、母数が少ない年に無理に枠を広げると、読者が欲しい“結論の強度”が薄くなる。そこで今回は、あえてTop4に絞り込み、2025年を象徴する4球としてニュース的に整理する。
まず定義を揃えたい。ここでいうWeak & Sharpとは、単に弱い球ではなく、
フック量が小さめで
手前を走って
下流で小気味よく動く(角度が出る)
という性格を持つボール群のこと。レーンが進行してオイルが削れ、手前が乾きやすくなる局面――いわゆる枯れ(burn / fried)の時間帯で、強いボールが手前で噛みすぎて失速したり、想定より早く立ち上がって曲がりが前倒しになったりするときに、このカテゴリが効いてくる。
特に恩恵が大きいのが、回転数が多い(レブドミナント)ボウラーだ。回転が強いほど手前で反応を起こしやすく、強い球だと“早すぎる反応”がスコアメイクを壊す。そこで必要になるのが、「手前で噛ませない」という機能。そのうえで、ピンを倒すための下流の角度も失いたくない。まさに“弱めでキレる”は、終盤の逃げ道であり、スコアを守る保険であり、ときに勝負球にもなる。
もう一つ、2025年のトピックとして押さえておきたいのが供給の波だ。近年このカテゴリはメーカーごとに供給のムラがあり、特にBrunswick系(Radical、Hammerを含む)ではしばらく選択肢が薄かった。しかし2025年は、そこに嬉しい新作が入り、選択の地図が少し塗り替えられた。
それではTop4を見ていこう。
2025年「Weak & Sharp」Top4──“役割”で読む4球
この記事の見方:スペックよりも「いつ、誰が、何を解決するか」
Weak & Sharpは、万能性より役割の明確さが価値になるカテゴリだ。ここでは各ボールを、
どれくらい手前を抑えるか
どのタイミングで動き始めるか
下流の角度の出方
向いているボウラー像
の順で整理する。読者が自分のバッグに“置く理由”を判断できるようにする。
第4位:Storm Typhoon(ストーム・タイフーン)
「かなり弱い。でも下流で角度が出る」を真正面からやる新エントリー
4位はStorm BowlingのStorm Typhoon。Stormの入門系に多く使われるReactor系カバーストックを採用し、近年はSurge系以外の選択肢が少なかった流れに対して、Typhoonが新しい“入口”を作った形だ。
このボールの核ははっきりしている。
とにかく奥まで進む
曲がり始めが遅い
そのうえで下流でそこそこ角度が出る
つまり、手前で反応しやすい人が困る「早すぎる立ち上がり」を抑え込み、レーンが焼けた終盤でも“手前で曲げたくない”状況に答えを出す。弱い球の中ではコアが少し強め寄りとされるが、強すぎて別カテゴリに飛び出すほどではなく、投稿者の感覚では「Hustleより一段上」の立ち位置に落ち着く。
価格は約140ドルと、カテゴリ内ではやや上。HammerのVibe系よりは高いが、性能と価格帯の距離感は理解しやすい。
おすすめ対象は明確で、レブドミナントで早い反応に悩む人、そして完全に焼けたレーンで“とにかく手前を殺したい”人。言い換えるなら、Typhoonは対応範囲を広げる球ではなく、問題を一点突破で解決する球だ。4位という順位は、その尖り方を正直に反映している。
第3位:Radical Intel Recon(ラディカル・インテル レコン)
「弱め×コントロール×角度寄り」──Intel復活のニュース性と実用のバランス
3位はRadicalのIntel Recon。このボールはまず文脈が強い。Intelシリーズ復活というだけで、Radicalファンにとっては大きなニュースだ。一方で同時期に別の注目作(Evil Eye)が出たことで、話題の中心から少し外れたとも語られる。だが、Weak & Sharp枠で見ると、Intel Reconは“実務的に強い”。
分類の決め手は、非常に低いディファレンシャル。おおむね0.030〜0.035程度で、フレアが少なく暴れにくい。これはつまり、弱めの球に求める最大要素である「安定」「読みやすさ」を担保しているということだ。
ただし、極端な鋭さで勝負するタイプではない。Crown Victoryのような球のほうが角度は強い、という比較が示す通り、Intel Reconは
「弱めでコントロールしやすい“角度寄り”」
という“中庸の良さ”を持つ。
投稿者は「もっと上にしてもよかった」としながら、発売からの期間が短く、実戦投入の情報が少ないことが順位に影響したと述べている。それでも評価点は明確で、Intelの良さを残しつつ、カバーの工夫でより奥まで進み、反応を少し速くしている。
つまりIntel Reconは、焼けたレーンで“ただ弱いだけ”にならず、必要な分だけ下流で仕事をする。3位は「派手さはないが、使えるニュース」――そんな位置づけだ。
第2位:Hammer Bubblegum Vibe(ハンマー・バブルガム バイブ)
「走ってキレるVibe」が戻ってきた──価格と性能が噛み合う“実戦の主役候補”
2位はHammer Bubblegum Vibe。Vibeシリーズの新しいパールVibeで、長く支持されたOcean Vibeが非常にスムーズだったのに対し、Bubblegumは意図的に方向性を変えている。キーワードは、
「もっとクイック(速い反応)」「Weak & Sharpらしい走りとキレ」
だ。
比較として特に分かりやすいのがArctic Vibe。投稿者は「Arcticが好きならBubblegumも好きになりやすい」と評価する。ここが重要で、Arctic的なモーションを土台にしながら、Bubblegumは反応ポイントをさらに奥へ押しやる。つまり、
手前はしっかり走る
奥で反応が立つ
角度が出せる
という、Weak & Sharpの教科書的な役割に寄せている。
そして2位に押し上げた最大の要因は“価格の強さ”だ。約110ドル、セールでさらに下がりやすいというコスパ枠。ただ安いだけなら話は簡単だが、この球は面白いことに、Vibeにしてはコアが想像より強めで、カバーも意外と強いのに、結果としてこのカテゴリに収まっている。
このズレが何を生むか。答えは、弱めの球にありがちな「薄い当たりで弱い」「入射角が作れない」を減らし、終盤でも“倒す力”を残したまま逃げ道になるという価値だ。
Hammerファンの文脈で言えば、かつてこの領域にいたHammer Angerが無くなった今、Bubblegum Vibeがその穴を埋める存在になり得る。2位は「買いやすいのに戦える」球への素直な評価だ。
第1位:Storm Hy-Road 40(ストーム・ハイロード 40)
「Hy-Road Pearlの役割」を取り戻し、価格まで崩した──賛否込みで“今年の中心”になった1球
1位はStormのHy-Road 40。投稿者いわく賛否が分かれる(controversial)存在で、本人も評価が揺れつつ、それでも最終的に1位にした――この流れが象徴的だ。なぜならHy-Road 40は、“性能”だけでなく“ポジション”を取りに来た球だからだ。
構成は、Road WarriorやThe Roadに使われたAIコアから、元祖Hy-Roadのコアへ回帰し、Equinox系のカバー――具体的にはA1S Pearlを組み合わせる。狙いは明確で、
「Hy-Road Pearl的な役割を復活させる」
こと。旧Hy-Road Pearlより少し強いが、かなり近い“雰囲気(vibe)”を再現できていると高評価される。
ここが1位の核心だ。Hy-Road Pearlは、このカテゴリで長年トップ級だったのに消えてしまった。つまり市場には、
「手前を抑えつつ、奥で角度を作れて、しかも扱いやすい」
という“必要な席”が空いていた。Typhoonは弱すぎて対応範囲が狭い。一方Hy-Road 40は、そこより一段上の汎用性があり、より多くのボウラーが“これでいい”と言える守備範囲を持つ。この使いやすさの広さが、順位を決定づけた。
さらにA1Sカバーについて、当初の予想より転がりが良い(EquinoxやHy-Roadで特に)と評価し、今後このカバーが別モデルにも広がる可能性がある、という見立ても語られる。ここまでで十分強いのに、追い打ちがある。価格だ。
リベートやセールの影響で発売後かなり早く値下がりし、投稿者は週末に95ドル程度で見たという。つまり、Vibe並の価格で買えてしまうのに、より上のグレード感と安定したリアクションが手に入る。投稿者は“変なほどお得”と驚き混じりにまとめ、リベート文化はよく分からないが、とにかく安い期間が長いと述べている。
Hy-Road 40の1位は、「役割の復活」と「価格の崩壊」が同時に起きたことへの、ニュースとしての結論でもある。
このカテゴリが刺さる人──“枯れ”と“回転過多”に効く、終盤の勝負道具
今回のTop4は、母数が少ない年だからこそ選定がシビアで、特に上位3つは過去でも最も僅差の戦いだったと語られる。ただ、共通点ははっきりしている。用途としては、
レーンが枯れた場面でのスコア維持
回転が強くて手前で起きやすい人の“逃げ道”
この二つに集約される。
強いボールが正解の時間帯は確かにある。しかし競技でもリーグでも、レーンは時間とともに変わり、終盤には「強い球ほど不利」という瞬間が来る。そのとき必要なのは、弱い球ではなく、「手前を殺して、奥で角度を作る」という機能だ。
2025年はリリース数こそ少なかったが、その分、役割が明確な球が揃った。結局のところWeak & Sharpは、バッグの隅で眠る“保険”ではない。条件が揃えば、スコアを守り、勝負を決める終盤の主役になり得る。2025年のTop4は、その事実を改めて見せつけた年だった。