
2025年PBAツアー総括
タケット時代の継続とグローバル化が進むボウリング界
記録と革新が交錯した2025年PBAシーズン
2025年のPBAツアーは、世界中のファンを熱狂させる大波乱と偉業が交錯する一年となりました。シーズンを通して6人の初優勝者が誕生し、2人が初のメジャータイトルを獲得、さらに8か国からチャンピオンが誕生するという、まさにグローバル時代の象徴的な一年でした。
その中でも、EJタケットの圧倒的な活躍は群を抜いていました。シーズン4勝、うち2勝がメジャータイトルという結果で、史上4回目の年間最優秀選手賞(Player of the Year)を受賞。この記事では、そのタケットの活躍を軸に、注目すべきトーナメント、選手、そしてボウリング界の新たな潮流について詳しく振り返ります。
PBA2025年シーズンを彩った名場面と選手たち
タケットが築く新時代の支配力
2025年は何といってもEJタケットの年でした。シーズンを通して11回のTV登場、8回のチャンピオンシップマッチ進出、そのうち4大会で優勝。彼の強さは単なるスコアだけでは語れません。戦略、冷静な対応力、そして何よりも勝負どころでの集中力が群を抜いていました。
U.S.オープンでは予選78位からの大逆転優勝。強敵アンドリュー・アンダーソンを決勝で破り、通算6度目のメジャータイトル。
PBAワールドチャンピオンシップでは3連覇を達成。ジェイソン・ベルモンテとの宿命の対決を制し、通算7度目のメジャー制覇。
シャークチャンピオンシップでは高得点の265点でトム・スモールウッドを圧倒し、タイトル数を27勝に伸ばしました。
タケットはポイントでも賞金でも圧倒的な差をつけてトップに立ち、新たな「黄金時代」を築いた存在であることを証明しました。
メジャー大会で光る実力者たち
今年はメジャータイトルでも見応えのある戦いが続出しました。
イーサン・フィオーレ(20歳)は、「PBAプレイヤーズチャンピオンシップ」で堂々の初優勝。史上最年少クラスでのメジャー制覇となり、大きな話題を呼びました。
ゲイリー・ヘインズは「USBCマスターズ」で初のPBA優勝がメジャーという快挙。精神面での弱さを乗り越え、家族の支えが勝利に結びついた感動的な優勝でした。
イェスパー・スヴェンソンは「トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で9年ぶりのメジャータイトルを獲得。ジェイコブ・バトラフ、EJタケットらを破る激戦を制しました。
これらのメジャー大会での結果は、一発勝負の厳しさと、それを超えるドラマ性を際立たせた象徴でもあります。
新興勢力と国際化の進展
2025年は、PBAツアー史上最も国際的なシーズンとなりました。アメリカ以外からも数多くの新星が登場し、初優勝を飾っています。
サントゥ・タフヴァナイネン(フィンランド):「PBAオーウェンズ・イリノイクラシック」でフィンランド出身選手として3人目の優勝者。
ダレン・オン(シンガポール):「バイパーチャンピオンシップ」でタケットを破り、シンガポール初のPBA優勝者に。
ラスムス・エドバル(スウェーデン):「スコーピオンチャンピオンシップ」で第5シードから下克上。
トゥン・ハキム(マレーシア):「カメレオンチャンピオンシップ」で高スコアの269点を記録。
わずか5大会で4か国の新チャンピオンが誕生したことからも、PBAのグローバル化の勢いが加速していることが分かります。
若手の台頭と親子の歴史
今年特筆すべきは、ライアン・バーンズの活躍です。
「プレイヤーズチャンピオンシップ」準優勝を含むトップ10入り5回。
PBA史上初の“6桁収入ルーキー”という快挙。
父親のクリス・バーンズ(1998年ルーキー・オブ・ザ・イヤー)とともに、親子での同賞受賞はPBA史上初。
バーンズのような選手の登場により、次世代のスター候補が確実に育ってきていることが分かります。
ベテラン勢の奮闘と名勝負
ベテラン陣の健在ぶりも見逃せません。
ジェイソン・ベルモンテはビル・オニールと組み「ロス/ホルマン・ダブルス」で勝利、通算32勝目。
ショーン・ラッシュは怪我を押して「ラッキー・ラーセン・マスターズ」で18勝目を挙げ、名誉殿堂入り後の優勝者となりました。
また、「PBAプレーオフ」ではスヴェンソンがEJタケットとの死闘を制し、レース・トゥ・3の決勝を第4ゲームで制すなど、見応えあるシリーズが続出しました。
チームイベントと新形式の注目度アップ
チーム戦やエキシビション形式のイベントも注目されました。
「PBAオールスター・ウィークエンド」では、一手投げvs両手投げの対決が実現し、一手投げチーム(タケット、アンダーソンら)が勝利。
「ストライク・ダービー」ではタケットが初優勝し、歓喜の表情を見せました。
ブランド別対抗戦「エリートリーグ」では、Stormチーム(トゥループ、ベルモンテ、スヴェンソンら)が初代王者となり、チームプレイの面白さが再認識されました。
2025年はボウリング新時代の転換点
EJタケットの支配力が際立った一方で、若手と国際選手の台頭、メジャー大会での番狂わせ、ベテランの復活劇といった多彩なストーリーが2025年シーズンを彩りました。
世界中のプレーヤーがPBAで実力を試す場として、そしてファンが熱狂するスポーツエンターテインメントとして、ボウリングは明らかに新たな時代へと突入しています。
2026年は誰がタケットを止めるのか?それとも、さらなる伝説が築かれるのか?
ボウリングの進化は、まだまだ終わらない。
2025年PBA主要データ
項目 | 内容 |
---|---|
最多優勝選手 | EJタケット(4勝) |
最多賞金獲得選手 | EJタケット($438,540) |
最多ポイント選手 | EJタケット(34,690pt) |
最年少メジャー優勝 | イーサン・フィオーレ(20歳) |
初優勝国 | シンガポール、マレーシア、スウェーデン |