
USBCが新たなボール規定を発表、PBAは現行ルール維持を表明
競技の公平性を巡るルール改正
アメリカのボウリング競技において、近年注目を集めているのが「ウレタン系ボール」と呼ばれる、高性能かつオイル吸収が遅いボウリングボールの使用に関する規定です。2025年12月31日をもって、USBC(全米ボウリング会議)は全国大会でのボール使用ルールを大幅に見直すと発表しました。
一方で、PBA(プロボウラーズ・アソシエーション)は、これに対して独自のルールを今後も継続して適用する姿勢を示しており、両者の方針の違いが明確になっています。
USBCとPBA、それぞれの対応
USBCの新ルール概要
USBCは、オイル吸収が90分以上かかる「スローオイル吸収型ハイパフォーマンスボール」について、以下のような新ルールを発表しました。
2025年12月31日以降、これらのボールは最低硬度78Dで製造されていなければ、米国内での販売許可が下りません。
2022年8月1日以前に製造されたスローオイル吸収ボールは、硬度にかかわらず全国大会で使用不可となります。
大会によっては、78Dの硬度を満たしていれば使用可能なケースもある一方、完全に使用禁止とする大会も指定されています。
使用制限のある主な大会一覧
種別 | ボール使用状況 |
---|---|
使用禁止(硬度不問) | U.S.オープン、USBCマスターズ、PWBA全国大会、U22マスターズ&クイーンズなど |
78D硬度で使用可 | USBCオープン選手権、シニアマスターズ、ユースオープンなど |
予選のみ使用可 | ジュニアゴールド選手権(決勝では禁止) |
変更なし(使用可) | チームUSA選考、USBCカレッジリーグ、USAボウリング地域大会など |
USBCは今回の変更を、競技の公平性や若年層選手のスキル育成、レーンパターンの保護といった観点から「必要な改革」と位置づけています。また、全国大会では硬度のスポットチェックも導入され、ルール違反の防止とデータ収集が進められる予定です。
PBAは現行ルール維持を発表
一方でPBAは、すでに独自に定めていた「すべてのPBAツアーで使用するウレタン系ボールは78Dの硬度を満たすこと」というルール(通称「78Dルール」)を今後も継続すると発表しました。
過去2年間、PBAではこのルールが安定的に運用されており、選手やイベント運営にも好影響を与えているとしています。現在のところ、73Dを下回らない硬度を保つウレタン系ボールの使用は、2026年シーズンも引き続き許可される予定です。
PBAはUSBCの決定を尊重しつつも、独自の競技レベルや環境に最適なルールを維持する姿勢を強調しています。
今後の動向に注目が集まる
今回のUSBCによるルール改正は、ボウリング競技における用具の公平性や競技環境の整備に大きな影響を与えるものです。全国大会では一部ボールの使用が制限され、選手やメーカーにとっては準備と適応が求められます。
一方で、PBAのように既存のルールを継続する団体もあり、今後の業界全体の足並みの揃い方には注目が集まります。
選手やコーチ、メーカー、そしてファンにとっても、用具に関するルールの変化を正しく理解し、適切に対応することが求められる時代が到来しています。