
PBA/PWBA混合ダブルス
コーテ&ビア組が2025年大会を制覇
がん撲滅に挑む、プロボウリングの頂点
2025年7月、米テキサス州ヒューストンで開催された第25回「SABCミックスダブルス(Striking Against Breast Cancer Mixed Doubles)」で、アリゾナ州ツーソン出身のブライアナ・コーテ選手とオハイオ州スプリングフィールド出身のクリス・ビア選手が見事優勝を果たしました。
この大会は、PBA(プロボウラーズ協会)とPWBA(女子プロボウラーズ協会)による混合ペア制の公式戦であり、毎年乳がん撲滅活動の支援を目的としたチャリティ大会としても注目されています。
逆境からの快進撃、勝利までの軌跡
予選は22位発進、準決勝で一気に浮上
大会は2日間にわたって計23ゲームで争われました。コーテ&ビア組は予選ラウンド終了時点で22位という厳しいポジションにいました。しかし、準決勝ラウンド(4ゲーム)で大逆転が始まります。
特に注目すべきはクリス・ビア選手の快投。彼はこの4ゲームで1,058点を叩き出し、その中には完璧なパーフェクトゲーム(300点)も含まれていました。一方で、ブライアナ・コーテ選手も持ち前の安定感ある投球でチームを支え、一気に3位まで順位を押し上げます。
マッチプレーで圧倒的なリードを確保
マッチプレー(対戦形式の決勝ラウンド)では、序盤こそ1位と2位を行き来する接戦となったものの、第3ゲーム以降は一度も首位を譲ることなく独走状態に突入。2位との差は150ピン以上をキープし、他のペアを寄せつけませんでした。
ビア選手は試合後、「この大会は本当に特別です。ふたりが同時に好調でなければ勝てない。ブライアナは本当に素晴らしかった」と語り、長年のペアとしての信頼関係を強調しました。彼にとってこの勝利は2021年の全米オープン以来となる2つ目のPBAタイトルとなります。
チームUSAで育んだ友情と信頼
コーテとビアの関係は、チームUSAでの代表経験を通して築かれたものです。国際大会で幾度となく共に戦い、その経験が今回の連携プレーに活きたと言えるでしょう。
コーテ選手も「私たちは勝利を喜んでいますが、本当の目的は乳がん支援。この大会の意義はそれにあります」と語り、競技を超えた社会貢献への思いを口にしました。
さらに特筆すべきは、ビア選手が大会中に達成した2度のパーフェクトゲームにより獲得した計600ドルの賞金を全額寄付したことです。彼はそれを大会ディレクターのドナ・コナーズ氏に手渡し、乳がん支援に充ててほしいと申し出たのです。こうした行動も、この大会の本質を体現していると言えるでしょう。
「Beauties and Beasts」出場者も決定
今回の結果により、来年開催されるプレイベント「Beauties and Beasts(美女と野獣)」の出場者も決定しました。これは男女それぞれ上位5名の個人スコア上位者が出場する特別競技で、トッププロたちの再戦が早くも期待されています。
男子の出場者:
ケビン・ウィリアムズ(1,718点)
アレック・ケプリンガー(1,701点)
ジャスティン・ノウルズ(1,687点)
ニック・ペイト(1,686点)
デオ・ベナード(1,661点)
女子の出場者:
エリン・マッカーシー(1,598点)
ジョーダン・スノッドグラス(1,552点)
ジョジー・バーンズ(1,543点)
ダイアナ・ザビャロワ(1,537点)
シン・リ・ジェーン(1,525点)
シーズン最終戦に向けた弾み
コーテ選手にとってこの勝利は、今シーズン最終戦「PWBAツアーチャンピオンシップウィーク」への大きな自信と弾みになります。最終戦は8月5日〜12日、ニューヨーク州ロチェスターのABCゲーツボウルで開催予定。この期間中には「PWBAロチェスターオープン」「PWBAペプシオープン」そしてシーズン最後のメジャー大会「PWBAツアーチャンピオンシップ」が行われます。
「今年は内容は良いのに結果に表れなかった。でも今回はついに報われた気がする。一投一投に集中して、自分を信じてやってきた努力が形になった」とコーテ選手は振り返ります。
勝利の意味を超えて
今回の勝利は、単なるタイトル獲得にとどまりません。ペアの絆、技術、そして社会貢献が融合した稀有な成果です。コーテ&ビア組の快進撃は、多くの人にとって「勝つこと」の意味を再定義させる出来事だったのではないでしょうか。
一方で、今後控える最終戦や来年のイベントも、世界最高峰のボウラーたちが集うステージとして注目されています。ボウリングの魅力と、支援の輪がさらに広がっていくことが期待されます。
関連リンク:
SABCミックスダブルス公式サイト