PWBA 2025アニバーサリー・オープン
ジョジー・バーンズ、夢舞台での勝利に感涙
ボウリング界の新たな歴史が生まれた瞬間
2025年7月、女子プロボウリング協会(PWBA)のアニバーサリー・オープンが盛大に開催されました。会場には多くのファンが集まり、世界最高峰の技術と熱戦に熱狂。その中でもひときわ注目を集めたのが、テネシー州代表・ジョジー・バーンズ選手です。
2025年のUSBCクイーンズ優勝者であり、今やPWBAの顔とも言える存在。彼女は見事な投球と冷静な判断力で、再び栄冠を手にしました。試合後のインタビューでは、彼女の胸に去来した思いや、家族とのエピソード、選手としての哲学が語られ、多くのファンの心を打ちました。
夢の舞台で見せた、母として・選手としての姿
観客との一体感が生んだ「特別な空気」
バーンズ選手が語ったのは、単なる試合の勝利以上に、「特別な空気感」に包まれた大会の印象です。
「これまでにも大きな試合を経験してきましたが、今回のような“夢の舞台”は初めて。観客の声援に包まれて投げるその瞬間は、まさに私がずっと夢見てきたものでした」
普段は観戦する側としてSECのフットボール試合やMLBのカブス戦を楽しんできた彼女にとって、今回のように“観客と一体になる感覚”をボウリングで味わえたことは、まさにアスリート冥利に尽きる経験でした。
特に印象的だったのは、子どもたちの声援。会場には、ジュニア大会に出場予定の若手選手たちが多数観戦に訪れ、プロの技術と心構えを目の当たりにしていました。
「あの子たちは、かつての私だった。私もジュニア・ゴールドで10年間投げた経験があるから、彼らの気持ちはよく分かる。そんな子たちの前で戦えたことが、本当に嬉しかった」
緻密な試合運びと、冷静な判断力
技術的な面でも、バーンズ選手は試合中に緻密な戦略の調整を重ねていました。13番ボードを狙いに定め、レーンの変化を感じ取りながら、タイミングを逃さずボールチェンジを行います。
「私の基本戦略は13番にヒットさせること。それを軸に、レーンに合わせて微調整していく。試合中に相手がスプリットした瞬間、『少しだけ呼吸できる時間ができた』と思えたんです」
バラエティマッチでは、手応えがいまひとつだったボールを早めに見切り、次の試合を見据えた変更を実行。結果的に、それが勝利に繋がる大きな一手となりました。
「この試合では、ただ勝つのではなく、“次も勝つための選択”を考えながら戦っていました。最後の2フレームでは、感情をかみしめながら、しっかり自分のルーティンを守ることに集中しました」
家族の存在が支えになった一週間
今回の大会期間中、バーンズ選手には特別な“同伴者”がいました。それは、彼女の幼い娘です。
「練習前の90秒前に『ママ、おトイレ!』って言われたことも(笑)。でも、それが逆に私を落ち着かせてくれたんです。ママとしての時間が、選手としての時間にメリハリをつけてくれた」
また、娘の素直なコメントは、時に鋭く、時に温かく、彼女の心を地に足つけてくれる存在でもありました。
「『ママ、今のは良かった』『ママ、もっと頑張れるよ』って言ってくれるんです。本当にありがたい存在。試合前も、あの子の一言で心が整いました」
原点となるヴァンダービルト大学への感謝
選手として、そして大学のコーチとしても活動しているバーンズ選手は、母校ヴァンダービルト大学への深い感謝も口にしました。
「私が何をしたいのかすら分からなかったとき、最初の仕事をくれた場所。そして今は、夢を追う女子選手たちを支えながら、自分自身も夢を追い続けている。本当に感謝しています」
ボウリングがくれた“人生最高の瞬間”
バーンズ選手は、今回の勝利についてこう締めくくりました。
「USオープンのような大舞台は他にもあるけれど、今回のような“この瞬間”は一度きりかもしれない。そう思ったら、自然と涙が出てきたんです」
「夢を追うことは、どんなライフステージにいてもできる」――ジョジー・バーンズ選手はその生き様をもって、それを私たちに教えてくれました。