
PBA60ワールドチャンピオンシップ
ブライアン・ルクレアが首位に浮上
負傷からの復活、再びトップへ
米国のプロボウリング界で注目の的となっているのが、60歳のベテランボウラー、ブライアン・ルクレア(Brian LeClair)です。約1か月前、「USBCスーパーシニアクラシック」の途中で太ももの筋肉を痛め、無念の途中棄権。その後およそ3週間ボウリングから離れていた彼が、現在開催中の「PBA60ワールドチャンピオンシップ」で見事なカムバックを果たし、首位に浮上しました。
本大会は、ウェイン・ウェブ主催の「PBA60ワールドシリーズ・オブ・ボウリング」最終戦にあたり、全米からトップシニアプレイヤーたちが集う注目の一戦です。
試合展開とルクレアの戦略的アプローチ
圧巻のマッチプレーでトップに浮上
ルクレアは当初、5位の順位でラウンドロビン形式のマッチプレーに進出。日曜日に行われた2ラウンドの合計12試合で、午前中に6戦全勝、午後にはさらに3勝を挙げ、トータル9勝3敗という圧倒的な成績を収めました。これにより、270ピンのボーナスポイントを加算。最終スコア6,413(+813)を記録し、単独首位に浮上しました。
2位にはアムレト・モナチェリ(+640)、3位にジャック・ジュレック(+630)が続き、彼らも同様に9勝3敗と健闘。特にジュレックは、9位から一気に3位に浮上する躍進を見せ、大会終盤に向けて存在感を高めています。
他選手とは異なるライン取りが勝敗を分けた
ルクレアは、独自の観察眼と戦略で勝利を手繰り寄せました。
「周囲の選手のボールの動きを観察し、ある位置で正しいリアクションが出ることに気付きました。それをヒントに、自分のボールをそのポイントに合わせてみたら、“これだ”と確信が持てたんです。」
この発見が、彼のその日のプレーに大きな影響を与えました。午前中の試合で見つけたそのラインは、午後のプレーでも生きましたが、他の選手たちも同様のラインを試し始め、結果としてその反応が消えてしまう場面もあったと語ります。
「皆が真似しようとしていたけれど、表面加工が合っていなかったように見えた。私とは異なるアプローチでそのレーンを使おうとした結果、うまくいかなかったのでしょう。」
しかしルクレアは、その変化にも柔軟に対応しました。夜の最後のゲームでは、モナチェリが自分と同じようなラインでプレーしていたのを確認し、自身も再びその位置に戻すことでスコア259を記録。まさに“対応力の勝利”と言える内容でした。
復調の兆しと、過去の成功体験
ルクレアはこの大会までに、5つのPBAシニアタイトルを獲得しており、最後の優勝は2019年の「PBA50サウスショア・オープン」でした。その後は勝利から遠ざかっていたものの、今回の大会で久々のトップ争いに加わっています。
「私の成功はここ数年、“右側のラインを攻める”ことから生まれている。それが今日もうまくハマってくれた。本当にいい感触だった」と語っています。
さらに、彼は「楽観も悲観もしない冷静なタイプ」であり、今回のパフォーマンスにも冷静に手応えを感じつつ、翌日に向けて準備を進めています。
「明日はもっとボールの反応が良くなるかもしれない。あとは祈るだけです。」
その他の上位選手たちの動向
4位にはクリス・ウォーレン(+625)が続き、5位にパーカー・ボーンIII(+610)がランクイン。ボーンIIIは、今大会のPBA60ウェブ選手権で優勝し、さらにPBA60ロス選手権では準優勝という好成績を残しており、非常に勢いのある選手です。
また、6位にはピート・ウェバー(+564)、7位にレニー・ボレシュJr.(+492)、8位にジョン・バーケット(+425)と、かつてのレジェンドたちも上位に名を連ねています。
優勝へ向けた最終決戦へ
月曜日午前11時(米東部時間)から、最終6ゲームのマッチプレーが行われ、その結果により上位5名が午後6時からのステップラダー決勝戦へ進出します。この決勝戦では、シニアカテゴリにおけるメジャータイトルがかかっており、優勝すれば今季最大の栄誉となります。
注目の決勝は「BowlTV」でライブ配信され、多くのボウリングファンが熱視線を送ることになるでしょう。果たして、ルクレアは長年のブランクを乗り越え、再び頂点に立つことができるのでしょうか。その結末は、間もなく明らかになります。
現時点のマッチプレー上位成績(ボーナスポイント込み)
順位 | 選手名 | 総スコア |
---|---|---|
1位 | ブライアン・ルクレア | 6,413(+813) |
2位 | アムレト・モナチェリ | 6,240(+640) |
3位 | ジャック・ジュレック | 6,230(+630) |
4位 | クリス・ウォーレン | 6,225(+625) |
5位 | パーカー・ボーンIII | 6,210(+610) |
決勝の行方と、ルクレアの復活劇に注目が集まります。