
トム・ドハーティ
2025年USBCシニア・マスターズ優勝でPBA50初タイトル獲得
50歳での新たな挑戦と快挙
2025年6月、ラスベガスで開催されたUSBCシニア・マスターズにおいて、トム・ドハーティ(フロリダ州リバービュー)が見事優勝を果たし、PBA50ツアー初タイトル、さらにメジャータイトルも同時に獲得しました。
50歳となり、PBA50(50歳以上のプロボウラーが出場可能なツアー)への出場資格を得たドハーティは、今季からそのツアーにも挑戦を開始。今回の勝利は、その決断が正しかったことを証明するものであり、彼のキャリアにおいて大きな転機となりました。
ドハーティの快進撃と優勝への道のり
圧巻の予選通過と完全勝利のマッチプレー
大会は6月初旬、ラスベガスのサムズ・タウン・ボウリングセンターで開催され、全310名の選手が出場。選手たちは3日間にわたって1日5ゲーム、合計15ゲームの予選を戦い、上位64名がダブルイリミネーション形式の決勝トーナメントに進出しました。
ドハーティは予選で平均スコア243.8という驚異的な成績を記録し、2位通過。この成績は、唯一彼を上回ったパーカー・ボーン三世(ニュージャージー州ジャクソン出身)が、予選10ゲームと15ゲーム両方で大会記録を更新するというパフォーマンスに次ぐものでした。
しかし、その後の決勝ラウンドではドハーティが真価を発揮。64人トーナメントで唯一全勝(6勝0敗)を記録し、決勝ステップラダーのトップシードとして日曜日のファイナルに進出しました。特に最後のマッチプレーで再びボーンを破り、ステップラダーでは2回負けない限り敗退しないという大きなアドバンテージを得ました。
決勝戦:冷静な判断力と勝負強さ
決勝戦の相手は、準決勝でミカ・コイブニエミ(ミシガン州トラバースシティ)を下して勝ち上がってきたパーカー・ボーン三世。ボーンはUSBCおよびPBA両殿堂入りを果たしている名手ですが、この日はピンキャリーに苦しみ、思うようにストライクが続きませんでした。
ドハーティは試合開始直後にブルックリンストライクとポケット7-10スプリットを経験し、出だしは不安定でしたが、その後立て直してフレーム3〜7で5連続ストライク(ファイブバガー)を決め、試合の主導権を完全に握りました。最終スコアは233対185と圧倒的な勝利で、見事に栄冠を手にしました。
「このゲームが勝負だと自分に言い聞かせて挑んだ。パーカーが苦しんでいると感じた瞬間に、自分が決めなければと思った」とドハーティは語り、試合中の判断力の高さと勝負所での集中力を見せつけました。
価値ある優勝と賞金配分
この勝利により、ドハーティはUSBCシニア・マスターズ優勝トロフィーとともに、2万ドルの優勝賞金を獲得。また、PBA50年間最優秀選手(Player of the Year)候補としても早くも名乗りを上げ、さらにシニア・チームUSA入りへの道も大きく前進しました。
そのほかの賞金配分は以下の通りです:
準優勝:パーカー・ボーン三世(12,000ドル)
3位:ミカ・コイブニエミ(9,000ドル)
4位:アンソニー・フランクリン(7,500ドル)
5位:ジェームズ・キャンベル(6,000ドル)
挫折からの復活と精神的成長
ドハーティにとってこの勝利は、単なる賞金やタイトル以上の意味を持っています。前回出場したメジャー大会でわずか3ピン差でステップラダー進出を逃すという苦い経験があっただけに、今回は「メンタル面の戦略を変えた」ことが大きな鍵だったといいます。
「前回の失敗は完全に自分の責任だった。それを繰り返さないよう、今回は心構えを変えて臨んだ。その結果が出たのだと思う」と語るように、精神的な成熟も彼の快進撃を支えた重要な要素となりました。
今後への期待と更なる飛躍
「我々はメジャータイトルを取るためにここにいる。そしてUSBCタイトルは特別な意味を持っている。彼らはチャンピオンを大切にし、祝福してくれる」と語ったドハーティ。今回の優勝は、彼のキャリアにおいて単なる通過点ではなく、将来の殿堂入りや代表選出への足がかりともなる重要なステップです。
今後の展望
PBA50ツアーは次に、コロラド州グリーリーで開催されるPBAシニア・全米オープンへと続きます。大会は6月11日開幕予定で、BowlTVによる全試合のライブ配信も行われます。ベテランたちによるハイレベルな戦いに、今後も注目が集まります。