
シンガポールのニュー・フェン選手
2大会連続優勝でPWBAサマーシリーズを締めくくる
歴史的快挙、ニュー選手が2大会連続で頂点に
2025年6月、オハイオ州パルマハイツのヨークタウン・レーンで開催された「PWBAロックンロール・オープン」で、シンガポール代表のニュー・フェン(New Hui Fen)選手が優勝を果たしました。これは、わずか48時間前の「BowlTVオープン」での優勝に続く連覇であり、PWBAツアー史上でも非常に稀な出来事です。前回これを成し遂げたのは、2023年にジョーダン・スノッドグラス選手(当時リチャード)が「グレートレイクス・クラシック」と「ボウラーズ・ジャーナル・オープン」を連覇した時以来のことです。
集中力と勝負強さで駆け上がった頂点
「この大会は絶対に勝ちたかった」
ニュー選手は、2025年のツアースケジュール発表時からこの大会を強く意識していたと語っており、準備と決意の強さが際立っていました。
「この大会を見た瞬間に、“これは勝たなければいけない”と感じた」と語った彼女は、試合中もロックのハンドサイン(人差し指と小指を立てる仕草)をチームメイトと交わしながら集中を維持しました。チームの支えと強いモチベーションが、彼女の快進撃を後押ししたのです。
トーナメントを通しての戦績
ラウンド16:スウェーデンのアンネリ・ブロムクヴィスト選手と対戦し、3-2の接戦を制して突破。
準々決勝:地元オハイオ州の若手有望選手、ジリアン・マーティン選手を相手にストレートの3-0で快勝。
準決勝:最大の山場となったのが、ツアーランキング首位のジョーダン・スノッドグラス選手との対戦。
この準決勝は、今回のトーナメントで最も緊迫した試合の一つでした。スノッドグラス選手は、12ゲームの予選スコアで3,018ピンを記録し、ツアー再開以降の新記録を樹立。過去の記録保持者も同じくシンガポールのチェリー・タン選手であり、シンガポール勢のレベルの高さが浮き彫りとなりました。
試合では、ニュー選手が序盤に6連続ストライクで一気に主導権を握りました。一方で、スノッドグラス選手は5フレーム目で2番ピンを外す痛恨のミス。しかしその後7連続ストライクで巻き返し、244ピンまで到達。ニュー選手は最終フレームで最低でも9ピンを取らなければならないプレッシャーの中、1投目で4-9のスプリットという非常に難しい形を残してしまいます。
ここで1本でもピンを取らなければ敗退という状況でしたが、冷静に1本を倒して245-244の1ピン差で勝利。このわずかな差が、優勝への道をつないだのです。
決勝戦:ディアナ・ザビャロワ選手との一騎打ち
決勝で対戦したのは、ラトビアのディアナ・ザビャロワ選手。彼女は準決勝でジュリア・ボンド選手を相手に、267点の高スコアを記録する圧巻のパフォーマンスを見せており、勢いに乗っての決勝進出でした。
決勝前半は互角の展開となり、5フレーム終了時点で両者ほぼ互角。しかし、後半に入ると流れが変わり、ニュー選手は6フレームから9フレームまで4連続ストライク。一方で、ザビャロワ選手はピンの“キャリー”に苦しみ、スコアが伸びずに失速。
最終的にニュー選手が237点を記録し、ザビャロワ選手の187点に大差で勝利。2大会連続優勝と賞金1万ドルを手にしました。なお、準優勝のザビャロワ選手には5,000ドルが贈られました。
年間最優秀選手の最有力候補に
今回の連勝により、ニュー選手はPWBA年間最優秀選手(Player of the Year)の最有力候補に浮上しています。本人も「去年は惜しくも届かなかったが、今年こそは自分の年かもしれない」と語り、強い自信をのぞかせました。
また、ニュー選手はシンガポール代表チームの仲間たちに感謝の意を表し、「私たちは一緒に成長してきた仲間。彼女たちの存在が私の心の支えになっている」と語っています。チームの結束力が、今回の快挙を生んだ大きな要因と言えるでしょう。
次なる舞台はアイオワ州、注目の戦いは続く
ニュー選手の連覇で幕を閉じたPWBAサマーシリーズ。今シリーズでは、3大会を通して12回のパーフェクトゲーム(300点)が記録されるなど、選手たちのハイレベルな戦いが展開されました。
次戦は、6月5日からアイオワ州ウォータールーで開幕する予定です。前日には予選トーナメント(Pre-Tournament Qualifier)が行われ、6月6日から本戦の予選がスタートします。ニュー選手の3連勝なるか、そして年間最優秀選手の座を確実なものにできるか、今後の展開に注目です。
▶ 詳細情報は公式サイトにて:
https://pwba.com/national-tour/pwba-summer-series-cleveland