ジェームズ・キャンベル
2025年USBCスーパーシニアクラシックで初優勝

60歳以上の頂点を決める大会で、新たなヒーロー誕生

2025年6月1日、ネバダ州ラスベガスにあるサムズ・タウン・ボウリングセンターで開催された「USBCスーパーシニアクラシック」で61歳のジェームズ・キャンベル(テネシー州ラウドン)が見事な戦いぶりを見せ、キャリア初となるPBA60タイトルを獲得しました。この大会は60歳以上のトップボウラーたちが競い合う名誉ある舞台キャンベルの勝利は、長年の努力と情熱が報われた瞬間でした。

下位シードからの快進撃と名選手たちとの激闘

グループステップラダーから始まった挑戦

ジェームズ・キャンベルの優勝物語は、決勝トーナメントではなく「グループBステップラダー」から始まりました。このラウンドは、予選とマッチプレーを勝ち上がった選手のうち、各グループの2〜4位が参加する敗者復活戦のような位置づけです。

まず、キャンベルはベネズエラのレジェンド、アムレト・モナチェリを214対197で破り、次戦ではメキシコのカルロス・デノットに対しても222対180で快勝。前年はこのステップラダーで敗退していたこともあり、本人にとっては精神的なハードルを越える大きな一歩でした。

「去年もこのラウンドまで来たが、初戦で負けてしまった。今回はそれを超えられて本当に嬉しい」と試合後に語ったキャンベル。

この2勝により、キャンベルはメインステップラダー決勝の第4シードに滑り込みました。

 

歴戦の名手たちを破る快進撃

メインステップラダー初戦では、PBAツアー35勝・PBA50で11勝を誇る伝説的存在、パーカー・ボーンIIIと対戦。キャンベルは試合終盤に8投中7投をストライクとする怒涛のラッシュを見せ、248対224で勝利しました。ボーンは8フレームと9フレームでスプリットを取りきれず、これが大きく勝敗を分ける形となりました。

準決勝では、かつてMLBオールスターにも選出され、現在はPBA50ツアーでも活躍するジョン・バーケットと対戦。キャンベルはなんと試合冒頭から9投連続ストライクという驚異的なパフォーマンスを見せ、最終的に279対214で圧倒。バーケットに付け入る隙を一切与えない、まさに完璧に近いボウリングでした。

この2勝により、ついに決勝戦へと駒を進めたキャンベルは、大会最強と目されていた第1シード、ピーター・ウェバーと対決することになります。

 

決勝戦で見せた冷静な判断と精神力

決勝戦は序盤から接戦の展開となり、5フレーム終了時点でウェバーが3ピンのリード。両者とも6フレームまでノーミスで進行する中、勝負を分けたのは7フレーム目でした。

キャンベルは3-6-7-10という非常に難易度の高いスプリットを残しましたが、見事にスペアを成功。一方のウェバーは10ピンの残りをミスし、痛恨のオープンフレーム。これが試合の流れを一変させました

その後、キャンベルは8フレームと9フレームでストライクを重ね、プレッシャーをかけ続けます。最終フレームでウェバーは3連続ストライクと7ピンが必要でしたが、10フレームで4-10スプリットを残してしまい、勝利の可能性が潰えました。

最後にキャンベルは10ピンを冷静に取り、優勝に必要な「マーク」を達成。最後の1投で9ピンを倒し、見事に2025年スーパーシニアクラシックのチャンピオンに輝きました

「ピーターが10ピンをミスした瞬間は見ていなかったが、観客のリアクションで分かった。あの人がシングルピンをミスするなんて想像もしていなかった」と、試合後のインタビューでキャンベルは語っています。

 

ケガと不安を乗り越えた先の栄光

キャンベルの今大会の優勝は、肉体的にも精神的にも決して平坦な道ではありませんでした。今年2月に右膝の手術を受けており、十分な練習ができないまま大会に臨んだのです。予選初日はスコアがマイナス14(順位は118位タイ)と、まさかの出遅れ。しかし、そこから着実に順位を上げていきました。

また、精神面の支えとなったのは妻カーニャさんの助言でした。決勝前に電話で「ボールの後ろにしっかり残して投げること」というアドバイスを受け、これが技術的にも精神的にも大きな助けになったといいます。

「妻の一言が、自分のフォームを再確認するきっかけになった。明らかに効果があった」と感謝の気持ちを語りました。

 

努力と支えの末に掴んだ勝利

キャンベルは大会後、「若いころは家族と仕事のためにツアーには出られなかった。引退後、ようやく本格参戦できたが、こんな日が本当に来るとは思わなかった」と語り、目に涙を浮かべる場面もありました。さらに、右膝の手術からの復帰後、十分な練習時間が取れなかった中での優勝という点でも、その勝利は特別な意味を持ちます

大会中、妻カーニャさんからの「ボールの後ろにしっかり残して投げて」というアドバイスも、彼の集中力を保つ助けになったとのことです。家族の支えと彼自身の諦めない気持ちが、初タイトルへの道を切り開いたのです。

 

今後の展開:PBAシニアマスターズに注目

スーパーシニアクラシックが終了し、次はPBA50ツアーのメジャー大会「USBCシニアマスターズ」が6月2日から8日まで、同じくサムズ・タウンで開催されます。今回の結果に勢いを得たキャンベルが、次なる舞台でどのような活躍を見せるのか注目が集まります

 

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