
シーズン最終章の熱狂
TOCが切り開いたPBAポストシーズンの行方
2025年PBAツアーのレギュラーシーズンは、伝統と威信を誇る「PBA Tournament of Champions(TOC)」によって幕を閉じた。1800テキーラがスポンサーを務めたこの大会は、まさにシーズンのクライマックスにふさわしいドラマと激戦が展開された。
このTOCが、どのようにして3つの主要ポストシーズンイベント──PBA Elite League、PBA Playoffs、PBA Tour Finals──に決定的な影響を与えたのかを詳しく追っていこう。
PBA Elite League:トップシードを巡る最終決戦
ブランド対抗戦「PBA Elite League: Battle of the Brands」は、シングルタイトルイベントでのスタメン獲得ポイントの累計によりシードが決まる。
2月2日の全米オープンでEJ・タケットが優勝したことでMotivが首位に立ち、3月19日のPBAシャーク選手権制覇で差を9,409ポイントに広げた。しかし、PBAワールド選手権でStormが反撃を見せる。ジェイソン・ベルモンテ、イェスパー・スヴェンソン、カイル・トゥループ、クリス・ヴィアがトップ7に4人も入る快挙を達成し、3,000ポイント近くを詰める。
さらにPBAプレイヤーズ選手権でStormの3選手が再びトップ10入りし、Motivとの差はわずか1,872ポイントに。
そして迎えたTOC最終戦。タケットとスヴェンソンの両者がチャンピオンシップラウンドに進出。スヴェンソンが優勝すればStormが逆転。しかし、Motivのタケットが初戦でジャコブ・バターフに勝利すれば、Motivのトップシードが確定するはずだった。
結果は──タケットがバターフにわずか6ピン差で敗退。その後スヴェンソンがバターフを破り、Stormが劇的な逆転でトップシードを獲得した。
PBA Playoffs:最後の1枠をかけた争い
2025年PBAツアーのポイント上位12名が出場する「PBAプレーオフ」。TOCのステップラダーファイナル時点で、10名がすでに出場確定。スヴェンソンはTOCのトップシードにより3,000ポイント以上を獲得し、11人目として確定。
残る1枠を巡って、バターフ、ケビン・マキューン、AJ・ジョンソンが争う展開に。ジョンソンは初戦で敗退し脱落。マキューンは準優勝以上が必要だったが、バターフが初戦で直接対決を制し、自らのプレーオフ出場を決めた。
PBA Tour Finals:わずか129ポイント差のドラマ
2024–25年の累積ポイント上位12名が出場する「PBAツアーファイナル」。こちらでは、グラハム・ファッチがTOCマッチプレー最終ラウンドでEJ・タケットを逆転。
ファッチは3位以上を確定させたことで、クリス・ヴィアをわずか129ポイント上回って最終12枠目に滑り込んだ。
もしヴィアが今季もう1試合でも勝っていたら、結果は変わっていた。ほんの一投の差が命運を分けたのだ。
結果、ファッチはタケット、シモンセン、ベルモンテ、トゥループ、アンダーソンとともにツアーファイナルへ進出。
なお、ビル・オニールとマーシャル・ケントはファイナルに進出したが、プレーオフには届かなかった。
結びに──TOCがもたらした「一投の重み」
TOCは単なるメジャータイトル以上の意味を持った。1つの勝利が、個人の栄誉だけでなく、チームの運命やシーズン全体の流れさえも決定づけた。
一投が順位を変え、対戦が物語を生み、栄光が積み重なる──それがPBAツアーであり、TOCの真骨頂だ。
次なる舞台、プレーオフとファイナル。ボウラーたちの物語は、まだまだ続く。